2020年1月10日金曜日

ゼネラルマネジメント重視のカリキュラムについて

冬学期が始まりました。現在、1年生はインターンに向けた面接のピークです。普段Tuckの雰囲気は和やかですが、今は自習スペースが少し静かだったり、皆が電話の呼び出しに神経を使っている様子なども伝わってきます。

さて、Tuckはコア科目が多いカリキュラムですが、関連する質問をいただく機会も多いので、私が感じた「ゼネラルマネジメントのカリキュラムって何?」という点に関して、ランダムに書いてみたいと思います。


受けてみると面白い授業がある
私の例でいえば、Analyticsという授業には特に期待はしておらず、仮にコアでなければ履修しなかったと思います。しかしながら実際受けてみると、面白く、学びが深く、将来応用できる内容だなと思い、Fall termのベストの授業の1つだと思っています。

バランスが実に良い
本当にそう思います。コア科目をすべて履修すれば、これからの社会に生きる経営者として必要な領域は抑えられると、そう思います。しかも、コア科目はハードなので一定の知識水準に達することができます。一定の水準というのは、専門家レベルではないが、専門家とまともに会話し質問ができるレベルです。仮に選択科目だったとしたら、例えば、皆さんはFinancial accountingを自ら履修するでしょうか?Capital marketsを自ら履修するでしょうか。もし答えがNoであれば、企業会計とか資金調達の視点がすっぽり抜け落ちた思考をしがち、そのせいで遠回りをしてしまったり、周囲がツッコミをくれなければ最悪間違った判断をする、そんな経営者になってしまうかもしれません。

学びたくない分野もわかる
前項のとおり一定の水準の知識を身に付けたうえで、「この分野は自分の領域じゃないな」と思う分野もあぶり出されます。私の場合、Marketingの授業はきつかったです。留学前は、Marketingを学ぶのも面白いかなと思っていましたが、そもそも感性が著しく弱い人間である上に、アメリカ人的な感覚のMarketingの事例に触れてもピンと来ず、やっぱり向いてないと確信しました。ゆえに、選択科目でMarketing系を履修することはなさそうです。それでも、Marketingの知識は一定程度ついたわけです。

Waiveする人は結構いる
留学前に、Study groupの結束を強めるためにもコア科目は全部取ったほうがいいと聞いていたので、1つもwaiveはしませんでした。実際は、それなりにwaiveしている人がいて、Financial accounting>Analytics>Capital marketsの順にwaiveしている人が多い印象を受けました。私は銀行貸出業務8年、証券アナリスト保有、簿記2級というスペックですが、振り返ってAccountingとCapital marketsは内容だけで言えばwaiveしても良かったと思います(もちろん、一定程度の学びはありました)。一方で、純ドメの私にとっては、これらの科目は周囲にしっかり貢献できる希少な機会でありました。また、以前の記事(教授同士の連携について)にも書いたコア科目間で連携、waiveをするとその醍醐味は失われます。

今から選択科目を取っていけば十分に専門性も高まる
Tuckでは1年次に1科目、2年次に12科目の選択科目(1科目:週2コマ×9週間)を取ることが卒業要件です(週1コマ相当のミニコースは0.5科目換算)。取りたければもっと多く取れます。私は今週からTax and business strategiesという選択科目を履修していますが、これが初回からマニアックな授業でして、コア科目とのギャップに驚きつつ、こういう選択科目を13科目も取っていけば、いくつかの分野で専門性は十分身に付くんじゃないかという手ごたえを感じています。

知識ゼロからの学びの難しさ
専門性を磨くこととゼネラルマネジメントは結局トレードオフで、好き嫌いだと思います。ただ、どうでしょう。ある分野で、知識ゼロから知識1にすることってめちゃめちゃ難しくないですか?どこから手を付ければ良いかわからない。あることが要点なのか些末な話なのかもわからない。調べ方もわからない。一方で、1の知識があれば、それを2にすることって意外と自分でもできちゃう。勘所がわかるから。2は3にできる。3は4にできる。信頼できる教育機関で、あらゆる分野の知識レベルを1に引き上げられるのは、私はとても効率が良いように思います。