2020年12月28日月曜日

MBAはコスパが悪い?

MBA受験の2nd Roundが大詰めですね。受験生の皆さんお疲れ様です。また、この時期というのは「来年MBA受験してみようかな」と思っている人が試験に向けて動き出したりするタイミングでもあるのではないでしょうか。このブログではTuckスペシフィックなことではなく、MBA全般に関わり、かつ受験生が気にしているであろう「MBAのコストパフォーマンス(以下コスパ)」について書いてみようと思います。

MBAはコスパが悪い」というのはMBAに批判的な意見の中で多いものの1つだと思います。しかし、コスパという概念は意外に扱うのが難しい概念だと思います。今回は「MBAはコスパが良い」と説得するつもりはありません。「①コスパという概念でMBAの良さを測る難しさ」「②MBAにいく決断を人の多くがたどったであろう思考プロセス」を考えてみようと思います。


「①コスパという概念でMBAの良さを測る難しさ」(結論:MBAの良さをコスパという概念では測れない)

まず、「MBAはコスパが悪い」という文章ですが、文章そのものに2つの曖昧な点があります。1つ目はコスパの定義が曖昧なこと。2つ目はMBAと何を比較してコスパが悪いと言っているのかが曖昧なことです。先に結論から言うと、これらの曖昧な2点を解消するのが難しいため、「MBAはコスパが悪い」という主張そのものが曖昧=MBAはコスパが良いとも悪いとも言えないと考えています。

まずは1つ目のコスパの定義です。「コスパ=パフォーマンス÷コスト」という定義が一般的かなと思います。MBAのパフォーマンスとはなんでしょうか。人脈・海外経験・年収アップ・2年間の休み・・等様々ですが、間違いなく言えるのは定量化できないということです。コストはどうでしょうか、間違いなく定量化はしやすいのですがこちらも難しさがあります。学費のような明らかなお金に関するものもありますが、MBA受験のためのTOEFLGMATの試験勉強に必要な時間等、定量化はできるがお金ではない概念が混じっており、コストとして使える明確な指標作りは結構難しいのです。つまり、MBAのコスパというのはそもそも計算できないよくわからないものということなんですね。 

2つ目、MBAと何を比較してコスパが悪いと言っているのかという点です。これも結構悩ましいですね。これは結論人によるんですよね。今の仕事を継続した場合と比較している人、デザインスクールと比較している人、海外オフィスへの出向と比較している人、転職と比較している人等様々ですね。そもそもキャリアという論点自体が個別性が高いため、一般論としてあるオプションが良いとか悪いとか断言することが難しいんですよね。

結論、「MBAはコスパが悪い」という主張は文章自体が曖昧で意思決定に役立ちません。では実際にMBAに行く人達というのはコスパという概念抜きでいかにして意思決定したのでしょうか。私の独断ですがおそらく以下の思考で意思決定した人たちが多いと思います(意識はしてなくとも、似たような思考を無意識にしていた人が多いと思います)。

 

「②MBAにいく決断を人の多くがたどったであろう思考プロセス」(結論:樹形図的な思考で決断してる人が多いのでは)

MBAに行く人達の多くは樹形図的な思考で意思決定したのではないでしょうか。つまり、以下3つの質問に順番に応えて全てがYESの人が留学を意思決定している人というイメージです。「1.MBAで得られるベネフィットに興味があるか」→「2.時間とお金を投資する覚悟はあるか」→「3.コストは調達できそうか」。図解すると以下のようなイメージですね。

割と荒っぽいですが、このような意思決定をしているMBA生は多いはずです。コスパなるものを計算し、他のオプションと網羅的に比較している人はほとんどいないのではないでしょうか。むしろ、上記の図の最初の問いである「MBAで得られるベネフィット」に対して強い思いがある人がそのままチャレンジして合格しているのではないでしょうか。だからこそ、「MBAはコスパが悪い」と言われると、そもそもそのような意思決定プロセスを経ていないMBA生としては議論がかみ合わない不思議な印象を持つわけですね。

コスパという概念を扱うのは一般的に相当難易度が高いです。それを何かの意思決定に用いる場合は相当な覚悟をもって数字と向き合う必要がありますし、そもそもコスパの計算が無理なケースが多いです。

もし受験生もしくは受験しようかどうか迷っている人の中で、「MBAはコスパが悪い」という主張によって悩んでいたり一歩を踏み出せない人がいたら、MBA出願においてコスパという概念は忘れてしまって大丈夫です。それよりも、MBAによって得られるものが自分にとって何であるのか真剣に考えてみましょう。情熱を持ってYESと言えるなら、そのまま進んでください。

長くなりましたが、MBAに行こうかどうか迷っている人の参考になったら嬉しいです。

(よければTwitterのフォローお願いします:@tuck_at)

2020年12月19日土曜日

Fall termの選択授業

 2年生のIchiroです。

 先日はWebinarにご出席いただきありがとうございました。Fall Termには6つの選択科目を取りましたので、Webinarの補足的な意味も込めて簡単に紹介します。


The Arrhythmia of Finance

 ファイナンスはどうして間違いを起こすのか、ファイナンスの常識は妥当なのか、「定性的に」考えてみようという授業です。「定性的に」というところがポイントで、数字はあまり出てこず、論理学や心理学に近い授業となっています。説明が難しすぎるので、いくつかのトピックを箇条書きします。

・「リスク」という言葉が曖昧過ぎて意思決定に悪影響を与えている件について、徹底的に分析

・あなたの自家用車や、博物館建設のために受け取った補助金は、本当に「資産」なのか。

・トレーダーの体内ではどんなホルモンや信号が行き交って意思決定にどう影響しているか

・後知恵バイアスや選択的注意などの、人を自信過剰にする落とし穴

 この授業はoutside-the-box的な視点が多数身に着く素晴らしい授業なのですが、唯一の難点は、反吐が出るほどのリーディングの量です。ごめんなさい。日本語訳版を適宜使いました(ケインズ原典とか無理でしょ・・・)


Leadership in the Global Economy

 DeanのMattの授業です。貿易戦争、気候変動、黒人奴隷制度への補償問題、格差の拡大というテーマに対して、5人の生徒がそれぞれ自分が選んだリーダーの視点から、5分間の議会証言をした後に、Dean, ゲスト(毎回、そのトピックの大物論客が登場しました)、他の学生(=国会議員という設定です)からの質問攻めに合うという授業です。

 たとえば気候変動がテーマの際には、石炭業界の重鎮、太陽光パネルメーカーのCEO、インドの偉い人等の立場から、議会証言をしました。石炭業界の重鎮は、「石炭は特に途上国では絶対に必要なエネルギー源。雇用も生み出している。規制強化反対」と証言するわけです。太陽光パネルメーカーは「気候変動に真剣に取り組め。エネルギー構造の転換が必要だ」と。インドの方は「途上国は気候変動に取り組めない。アメリカが頑張れ」とやります。

 これに対して、国会議員から「化石燃料産業をいじめると、私の地元の雇用が壊滅するんですけど」とか答えにくい質問がされて、リーダー達は時にはキッパリと、時には意識的にムニャムニャと回答する練習を積むわけです。

 このギミックにより、知識の習得に加えて、このムニャムニャ答弁する能力や、個人としての思想と組織代表としての意見のせめぎ合いの中で発言する能力を養うことができるわけです。


Countries & Companies in International Economies

 コアのGlobal Economics for Managersの発展版で、皆大好きAndrew Bernardが教鞭を取ります。主にケースを使って、為替リスクに対して、企業が取るべき戦略を緻密に分析します。またティファニーの日本法人の垂直統合の理論的メリットの分析や、米国に輸入される家電製品への関税がもたらしたことなど・・・。経済学の理論を、現実のケースに対して明確に結びつけることにおいて、Andrewの右に出る者はいないんじゃないかと思います。Tuckに入学されましたら、必ず履修して味わってください(笑)。


Managing Stakeholder Issues in Private Equity

 カーライル重役であったDavid Marchickの授業です。タイトルのとおり、PEファームが、Limited Partners、被買収企業の役員や従業員、政府、コミュニティといったステークホルダーにどう対応していくのかにフォーカスした授業で、数字は扱いません。被買収企業が清算された時、(法的根拠のない)一時金を従業員に払うべきかとか、リターンが高い民間刑務所への投資等、controversialな案件について、議論を深堀りします。また、David自身が中心で携わってマスコミに大々的に称賛された数年後に、手のひらを返したように扱き下ろされたケースなども扱います。Zoom環境下で授業は通常録画されておりますが、彼は頻繁に録画を止めて色々教えてくれます(笑)。


Venture Capital and Private Equity Basics

 生徒からの過去のEvaluationはイマイチだったのですが、個人的には学びの多い授業でした。Basicsという通り、VCPEの基礎を学べる授業です。私はファイナンスバックグラウンドでありながら、VCPEに携わったことがなかったので、様々な株式の特性、契約書、バリュエーション、キャッシュウォーターフォール、SaaSモデルの分析などなど、非常に効率よく学べたなと思います。レクチャーとケースが交互に行われるので、ステップバイステップで知識が定着していくのをよく感じられました。VCPEの経験がある方には物足りない授業かもしれません。


The CEO Experience

 元NH州知事のJohn Lynchの授業。全てケースで、リーダーはどうあるべきかに焦点を絞ってディスカッションをします。リーダーは一般企業、NPO、行政と様々、そして1960年代から現在に至るまでの本当に幅広いケースを取り扱います。授業からのTakeawayはたくさんあるのですが、John Lynchのリード無しでは陳腐になってしまうので、ここには書きません。ただ、言えることは、リーダーとして求められることはすごくシンプルであり、それはいつの時代にも変わらないということです。


 どの教授も、素晴らしい職歴&教育熱を両方持ち合わせているので、品質の高い授業が提供されているんだと思います。これまで累計8科目の選択授業を取ってきましたが、全て本当に満足度が高いです。「全て」だと嘘っぽく聞こえてしまいそうなので、つまらない授業に出会いましたら喜んでこちらで報告したいと思います(笑)。ではまた。


2020年12月15日火曜日

Fall Bの授業②

 こんにちは。T22のYutaです。今日ようやくFall Bのテストが終了しました。3時間半の長丁場で、少々疲れましたが、今は中国人の友達にもらった手作りアンパン的なものを食べながらリラックスしています。

さて、前回の続きで残りの2科目をご紹介します。

3.Capital Market(教授:Prof. Ing Chen)
学習内容としては、株式・債券・オプション・フューチャーの基礎的な項目を網羅します。学習する内容の深さとしては、CFAのレベル1や日本の証券アナリスト試験(受けたことないので不確かですが。)と同じぐらいのレベルかと思います。また、金融機関で市場系の業務に従事している人にとっては簡単すぎる内容かもしれません。

例えば、DCF、DDM、CAPM、デュレーション、プットコールパリティといった用語を聞いて内容がピンと来る人はExemption(受講免除)してしまっても構わないのではないでしょうか。私もExemptionを検討しましたが、前期に会計をExemptionしていたこともあり、受講することにしました。私は個人的にExemption推進派ですが、限られた時間をどのように使っていくかは、よくよく検討が必要なところです。

本授業については、毎回問題演習が課されることや、Ing教授の説明の上手さもあって、知識を定着させられたり、理解がかなり深まったりしたので、結果として受講してよかったかなと思います。

バックグラウンド次第では、ちんぷんかんぷんになっている人もそれなりにいたようですが、Capital Marketは最悪、でもIng教授は最高という人も結構います。

また、統計で学習した事項と関連してくることもあったりして、面白かったです。簡単な回帰分析を実際に行うことで、「あぁ、CAPMのβってこういうことか」と腹落ちしたりもしました。

<教授紹介ページ>
Tuck School of Business | Ing-Haw Cheng (dartmouth.edu)


4.Analytics II (Prof. James Smith, Prof. Prasad Vana)
本授業は前半でエクセルのモデリング、後半はデータビジュアライゼーションとRを用いた分析手法を学習しました。

エクセルのモデリングにおいては、様々なケースを読み解きながら、どのように美しく、機能的にモデル化していくか、また、作成したモデルを基にSolverというエクセルのアドイン機能を用いながら、どのように最適な意思決定を下していくかを学習していきます。

データビジュアライゼーションではTableauを使って様々なデータを図表に纏める手法を学びました。Rを使った授業では、基本的なコーディングの理解を深めつつ、回帰分析、クラスター分析、ニューラルネットワークによる分析といった分析手法の基礎を学ぶことが出来ました。

こういったハードスキルが身につくのは、成長がわかりやすくていいなと思いつつ、実際にどこまで業務に活かせるものか、やや不透明です。こうした分析手法が必要な業務に従事したとしても、会社によって使っているソフトウェアも違ったりするでしょうし、そもそも授業で使っているような綺麗なバックデータが実務で手に入ることも稀なのではないでしょうか。

他方で、それぞれの分析の概念的な部分や、出てきた結果の読み解き方についてはこれからの時代必須スキルかと思いますし、上記のCapital MarketのCAPMの話のように、他の科目で統計の知識が必要となるケースも多く、今後の勉強や実務において自身の土台となる重要な科目であったと思います。大学院で勉強していく上でも、論文のコンテンツの相当な部分が統計手法による実証研究に割かれているケースも多く、やはり知ってくべきだと思います。

なかなかハードでしたが、Fall A・Bの両方で統計学を教えているところからも、Tuckにおいても重要視されている科目なんだと思います。

<教授の紹介ページ>
Tuck School of Business | James Smith (dartmouth.edu)
Tuck School of Business | Prasad Vana (dartmouth.edu)


冬タームは、コア科目としてコーポレートファイナンスとマクロ経済、選択科目としてEntrepreneurial Finance・Data Mining for Business Analytics・Digital Change Strategyを受講予定です。いよいよ選択科目が始まることが楽しみです。

2020年12月14日月曜日

Fall Bの授業①

こんにちは。T22のYutaです。

現在、Fall Bタームの期末テスト期間です。残すところあと一科目、夏のインターンに向けたリクルーティングにも追われ、忙しかったFall Bもようやく終わりを迎えようとしています。

今回のブログでは、Fall Bの授業内容について紹介します。Fall Bの科目は、ストラテジー・マーケティング・キャピタルマーケット・統計学IIの四つになります。スタディーグループについては、Fall Aと同じメンバーです。

今タームは、私のスタディーグループは、科目キャプテン制度を導入し、それぞれが担当する科目について、リーダーシップを取って進めていくことにしました。改めて見ると、まさにこのタームのためにあるようなバックグラウンドのグループ構成となっており、それぞれの得意分野で皆上手く力を発揮できたと思います。MBAに来るぐらいなので、リーダータイプが多く、Fall Aは船頭多くしてなんとやら状態でしたが、今期はこの運営にて効率もグンと上がりました。

ちなみに、うちのチームはクラスでも「あぁ、あのスマートな奴揃いのグループか。」と言われたりするぐらい、皆優秀なので、各人の担当分野をきっちり任せきれるので楽でした。

<各科目のキャプテンとバックグラウンド>
ストラテジー:コンサルタント出身者
マーケティング:シアターのアドバタイジング部門出身者・米銀の経営企画部出身者
キャピタルマーケット:インベストファーム出身者と私(銀行員)
統計学II:データアナリスト、データインテグレーション担当者


さて、前置きが長くなりましたが、以下授業の詳細です。

1.ストラテジー (教授:Prof. Ramon Lecuona)
基本的には、ポーターのファイブフォース(Tuckではそこに独自に1つComplementorを加えたシックスフォース)を中心とし、それぞれの価値を生み出す源泉として、規模の経済性、ラーニングカーブ、シナジー、取引費用理論、破壊的イノベーション等の基礎的な事項を学びました。コア科目だけあって、古典的なケースが多く、トヨタによるプリウスの開発、任天堂・セガ・ソニーによるゲーム機戦争、デジタル技術の導入におけるコダックの失敗と富士フイルムの隆盛等、日本企業の名前が沢山出てきます。

ケースの舞台となる時代は、日本の国内市場で地盤を固めた日本企業が、満を持して米国市場を攻めてきたというものが多く、そうした日本企業に米国企業がどのように対応したか、日本企業がいかにうまくやっているかを見ていくこととなりました。Ducatiの元CEOがゲストスピーカーとして登壇した際に、「技術の向上や製造プロセスの改善といった既存の延長線上では絶対に日本のメーカーには勝てない。ただし、デザインの先進性等、Inovativeな部分では勝つことができる。」と仰っていたのは、なんだか複雑な気持ちで聞くことになりました。

私はストラテジーについては、過去に独学でそれなりに勉強していたので、知識としての新たな学びはあまりありませんでしたが、ケーススタディを通じて、何度もその知識を応用したことで、モノの見方が多少変わったように感じています。ポーターのファイブフォースの要素を5つ言えることと、それを実際に使って考えられることとは当然ながら別次元の話です。

(教授の紹介ページ)
Tuck School of Business | J. Ramon Lecuona Torras (dartmouth.edu)


2.マーケティング (教授:Prof. Sharmistha Sikdar)
市場調査の方法、分析手法、セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニング、3C、4Pのフレームワーク等、マーケティングの基礎事項を網羅的に学習。実践面では、様々な企業のCMを見ながら、学習した事項を使ってどういったコンセプトで作られたものかを考察したり、与えられたデータを元に、特定の商品(キリンビール等)のポジショニングを考えたりもします。

また、Markstratというソフトウェアを用いて、各スタディグループ毎に、マーケティングのシミュレーションゲームをしたりもしました。顧客ニーズや競合動向を分析しながら、新商品開発や既存の商品の価格戦略、製造計画、チャネル戦略等を考えます。各意思決定に基づいて市場シェアや売上・利益が算出され、それらを反映した株価が最終的に一番高いチームが優勝です。うちのチームはリスクを取って新商品開発に一番早く乗り出したところ、最初はR&Dコストが嵩み、最下位にまで転落しましたが、見事新商品をヒットさせ、優勝することができました。

教授が非常に淡々と授業を進めるため、授業としては正直イマイチだと感じましたが、テスト勉強をしながらスライドを読み返していくと、各フレームワークが実例と共に良く纏まったいい資料だなと思いました。内容もさることながら、教える側の熱量がとっても大事だなと感じます。

(教授の紹介ページ)
Tuck School of Business | Sharmistha Sikdar (dartmouth.edu)


前にブログに書いたDan教授のお宅訪問時に、「Tuckの教授は(自身の研究もあるのに)何故そんなに生徒を教えることに情熱を傾けられるのか」と聞いた際、教授にしても元々人との関わりが好きな人がTuckに来がちという前提はありつつ、「前期後期制ではなく、クォーター制を取っており、あるクォーターは生徒の指導にだけ注力し、それ以外のクォーターは自分の研究に集中するといったメリハリの利いた時間の使い方をできるからだ」と仰っていました。教授がエネルギッシュだとこちらのやる気も増すので有難いです。

長くなったので、残りの二科目はまた別途書きます!

2020年12月2日水曜日

Dartmouth Tuck 在校生によるMBA webinerのご案内 12/18(金)

受験生の皆様、出願準備お疲れ様です。


特に2nd Roundで出願予定の方は最も忙しい時期かと思いますが、ぜひ頑張ってください。

この度、Tuckの日本人在校生主催にて、以下のとおり、非公式のwebinerを行います(Admission Officeは関与していません)。

Tuckに出願する方にはもちろん、Tuckに出願するかどうか迷っている方、そもそもTuckのことをよく知らない方にも有用な情報を提供したいと思います。

Tuckとのフィット感を確かめるためにも、ぜひ一度在校生の話を聞いてみてください。


日時:12月18日(金)22:00~23:00(日本時間) 

言語:日本語

内容:Tuckの魅力、プログラム、アプリケーションのtips、事前にいただいた質問への回答等

配信:Zoomにて開催予定。登録いただいた方に後日リンクをお送りします。

登録方法:こちらのGoogleフォームより登録をお願いします。



当日は、フォームで関心の高かった事項を中心にお話したいと思います。

キャンパスビジットができない中ではありますが、本webinerを通じて、少しでもTuckのイメージをお伝えできればと思っておりますので、奮ってご参加ください。

2020年11月22日日曜日

ゼネラルマネジメントスクールとは

こんにちは。ようやくFall Bタームの中間テストが終わり、ほっと一息ついています。昨日はテスト打ち上げがてら、アメリカ人の友人宅で、るろうに剣心の映画鑑賞会をしました。日本文化、というか漫画のパワーは偉大です。

さて、そろそろMBA受験では面接対策が本格化する頃ですが、私は面接でゼネラルマネジメントスクールに行きたいですとよく言っていたので、今日はゼネラルマネジメントスクールとは何ぞやということについて書いてみたいと思います。あくまで私の個人的見解ですので悪しからず。

一口にMBAといっても、各学校異なった特色があり、大きな枠組みとして、ゼネラルマネジメントスクール、ファイナンススクール、マーケティングスクール等の言葉があったりします。具体的には、TuckやHBS、Stanfordはゼネラルマネジメント系、WhartonやBoothはファイナンス、Kelloggはマーケティング に強みがあると言われることが多いのではないでしょうか。(そうはいっても、トップスクールになると大抵の分野に強いので、各学校どの切り口で見てもハイレベルなのですが。)


Tuckがなぜゼネラルマネジメントスクールなのか、という点については、「コア科目への力の入れ具合」で語ることができるのではないかと思います。入学早々から、みっちり(本当にみっちり)コア科目が組まれており、各科目の受講を免除しようとしても、学位や職務上の経験等、相応のハードルを越えなければ免除できません。

実際のビジネスの場で役立つ知識・知恵となるよう、各科目間の関連性も強く持たせるように意識しており、経済学で学んだ知識をストラテジーで応用してみたり、統計学で学んだ知識をキャピタルマーケットで活用してみたり、教授陣も様々な工夫をしています。(これらの工夫については、こちらの公式サイトでも紹介されています。https://www.tuck.dartmouth.edu/news/articles/how-the-core-curriculum-fits-together)

幅広いテーマを経営者の視座から学び、各科目の謂わば古典を確りとおさえながら、ケースメソッドによってそれらの知識の応用方法を身につけていく、そんなコアカリキュラムになっています。

メリットとしては、MBAホルダーとして身につけておくべき事項を網羅的に学べることや、自身がこれまで注力してこなかった分野での関心・興味を身につけられることが挙げられるかと思います。デメリットとしては、本当にその分野に詳しい人にとってはその分野での学びが限定的になり得ることがあるかと思います。

但し、問題演習量が相当に多いため知識を定着させられたり、ケースを通じてクラスメイトとディスカッションしたりも出来るほか、詳しい分野の方が自分自身がクラスにコントリビューションできることも多いので、学びが限定的になるかどうかはその人次第な側面もあります。

また、一年生の冬学期からは選択科目も取れるので(私はアントレプレナーシップファイナンス・データマイニング・デジタル戦略を受講予定)、一年生のうちから興味のある分野で専門性を高めていくことも、それなりには可能です。あとは、選択科目を見てもストラテジーの分野で授業数や有名教授の数が多いような気がするので、その辺もゼネラルマネジメントスクールっぽいかもしれません。そうはいっても、ファイナンスとかヘルスケアの分野も多いですけど・・・


別の切り口では、リクルーティングにおいてスクールの特色が利いてくることもあると思います。ゼネラルマネジメントスクールは、一般的にはコンサルティング業界に強い学校が多いと感じており、Tuckの卒業後の進路のデータを見ても、コンサルティングが35-40%、金融が25%、テックが20%ぐらいとなっています。

今はまさにリクルーティングまっさかりですが、コンサルティングファームの面接においては「XXのビジネスを行っている会社が△△の分野に進出しようとしている際に、検討すべきことはなんですか」といったようなケース面接が行われる一方で、投資銀行での就職を目指す同級生によれば、「バリュエーションの手法にはどんなものがありますか。WACCって何ですか?CAPMの各構成要素が動く要因とバリュエーションへの影響について説明してください。」といったテクニカルな質問も多いそうです。

前者のようなケース面接であれば、ビジネスに関する広い知識を前提に論理展開していける力があれば良いと思いますし、後者であれば、ファイナンスの知識としてWACCやCAPMを確りと理解していなければいけないと思います。

こうした点で、コンサルティングファームのような面接であれば、Tuckのようにコア科目に力を入れている学校には一定のメリットがあると思いますし、ファイナンスの専門知識を早期に得たい人にとっては、入学早期から受講科目にフレキシビリティのあるファイナンススクールを選ぶ蓋然性も相応にあると思います。

そうはいっても、Fall Bタームにおいてキャピタルマーケットの科目があり、上記のような質問に問題なく回答できるぐらいには、確り勉強しますので、投資銀行に行きたい人もTuckを選んでいただいて全く問題ないとは思います。キャピタルマーケットを教えているIng教授は明瞭で紳士的、かつユーモアにも富んでいて、学生からも人気です。(https://www.tuck.dartmouth.edu/faculty/faculty-directory/ing-haw-cheng)


また、特にアメリカで就活をする場合は、ネットワーキングが重要となりますので、コンサルに行きたい人はコンサルティング業界に卒業生が多いゼネラルマネジメント系のスクール、投資銀行に行きたい人は投資銀行業界に卒業生が多いファイナンススクールを選ぶということも一考かと思います。

そうはいっても、大抵のビジネススクールでは、コンサルティング・投資銀行・テックに相当の人数を送っているので、この点における差別化も限定的かもしれません。


どこの学校も似通ってきている部分も多く、一言で違いを言うのも難しいのですが、経営者として必要な知識を網羅的にみっちり勉強でき、ケースメソッドやコンサルプロジェクト等での実践機会を通じて応用力を身につけられるので、Tuckはなかなか良い学校なのではないかと感じています。

今年はビジットもなかなかできないでしょうから、受験生の方々と直接お会いできる機会も少なく残念ですが、Tuckについて疑問点や知りたいことがあれば、メールでもTwitterでも、お気軽にご質問ください。

2020年11月3日火曜日

Tuck日本人在校生運営のツイッターアカウント開設

こんにちは。T22のYutaです。

ブログに加えて、ツイッターアカウントも開設しました。

こちらも使って、Tuckの様々な側面をお伝えしていければと思います。 

 MBAに興味のある方に、Tuckをより身近に感じてもらえることを目指したいと思いますので、是非フォローしていただければ幸いです。 よろしくお願いします!!


2020年10月31日土曜日

Tuckな休日(リンゴ狩りと教授のご自宅訪問)

こんにちは。T22のYutaです。秋休みも終わり、Fall Bタームが始まっています。個人的にはFall Aタームよりも勉強の負担が重く、リクルーティング活動も盛んになってきているので、毎日なかなかに忙しいです。そして、Fallタームと言いながら、今日は初雪も降り、ナルニア王国のような景色を早速満喫することができました。もはや冬です。

さて、Fall Bタームの勉強内容についても、後日投稿しますが、秋休みに非常にTuckらしい休日を過ごすことができたので、お伝えしたいと思います。


1.リンゴ狩り

日本人T22の2家族でリンゴ狩りに行ってきました。ロンドン在住時代でも果物や野菜のPick Your Ownは結構楽しめましたが、車で1時間近く郊外にでなければならなかったロンドンと違い、Tuckでは家から15分ぐらいでリンゴ狩りができます。季節によって、他の果物や野菜を収穫することも可能です。

ニューハンプシャー州固有のリンゴや日本のふじリンゴ等、10種類近くのリンゴが採れたのですが、それぞれ味が違って驚きです。りんごって色んな味があったのか・・・
5歳の息子、3歳の娘も初めての体験に大はしゃぎだったほか、T22の我々も大ジャンプして高いところのリンゴを取ったりと、幼少時代に返ったかのようなテンションになってしまいました。

田舎暮らしの不便さについてもまたいつか書きたいですが、田舎でしかできない過ごし方をできるのは本当に貴重な経験です。ロンドンや大阪では少し大人しいと思っていた息子が2ヶ月の米国暮らしで随分活発になり、これが自然の力かと驚いています。

リンゴ狩りだけでなく、山道のトレッキングや、牧場での動物との触れ合い等々、子供の情操教育に良さそうな過ごし方ができます。

ちなみに、リンゴ狩りは家族連れ以外にも人気で、彼氏とリンゴ狩りデート中の同級生に出会った他、寮に住んでいる学生がSNSで食べきれないから誰かリンゴいらない?と投稿する等、みんな1度はやっている感じです。


2.教授のご自宅訪問

これは実は私の夢であり目標だったのですが、是非教授と近い関係を築きたいと思っていて、いつか自宅訪問なんてできたらなぁと思っていたところ、早速目標達成しました。

招待してくださったのは前回のブログにも書いたManaging Peopleを教えるDaniel Feiler教授(https://www.tuck.dartmouth.edu/faculty/faculty-directory/daniel-c-feiler)。Feiler教授の奥様は実は日本人で、いつかお会いしたいなと思っていたところ、私が提出したレポートに関してメールでやりとりしているうちに、そういえば1度うちにおいでよ!とお招きいただいた次第です。なんと、子供も5歳と3歳で同い歳で、家族でとっても楽しく過ごせました。

前日に収穫したリンゴで妻がリンゴケーキを作ってくれたのでお土産にもっていき、教授のご自宅の庭でたき火をしながら、みんなでお茶会をしました。息子や娘は教授にマシュマロの焼き方を教わった他、超巨大な庭でサッカーをしたりと大盛り上がりでした。息子が教授に何故かずっとチョップをしていたり、娘がよくわからないままに「ぷろふぇっさー!ぷろふぇっさー!」と呼びつけていたりと、ヒヤヒヤもしましたが、教授も笑顔で対応してくれました。

子供達同士で遊んでいる間に、教授が書いた論文について色々と質問をしたりと、アカデミックな面でも貴重な経験をさせていただくことができました。いつか日本でも教えてみたいと思っているそうで、日本の大学についても色々ディスカッションをしましたが、Feiler教授のような熱量をもった方が日本の大学で教えてくれたら本当に素晴らしいなと思います。いつか実現して欲しい・・・(ちなみにTuckは慶応や国際大学と提携しています。)

コロナ以前であれば、子供が学校に入ることも全然自由な学校ですので、学長や教授もTuck生の子供と喜んで交流を持ってくれます。こうした経験が子供が将来進路を切り拓いていくうえで、純ドメ思考だった私とは違った観点を与えてくれたらいいなと思います。


子供関係のことがどうしても多くなってしまいますが、私単体でも楽しんでいます。本当に勉強が大変なのですが、合間を縫って、クラスの友達と飲みに行ったり、スタディグループの友達の自宅訪問をしたり。ストラテジーの授業で任天堂のケースがでたので、明日はその復習と称して、メキシコ人とスマッシュブラザーズ大会を予定しています。

Study hard, play hardの精神で、引き続き頑張っていきます!それではまた!!

2020年10月16日金曜日

Fall Aタームを終えて

こんにちは。T22のYutaです。

今回はFallA Termの内容について紹介したいと思います。 

Tuckはゼネラルマネジメントに重きを置くスクールであり、1年目はみっちりコア科目として経営戦略・経済学・統計・会計等々のビジネスマンとして知っておくべき知識を広く学びます。

そうはいってもどこのスクールもだいたいコア科目ってあるじゃん・・・と思っていたのですが、コアに対する気合いの入れ方が違うというのが恐らくTuckの特徴なのかなと感じています。(他のスクールとの比較はできませんので、あくまで主観ですが。)

コア科目を教えている教授陣の陣容も厚いですし、授業外でのフォローアップの時間や、課題の多さ、コア科目同士の関連の強調具合等々、「ビジネスリーダーたるもの知っておくべきことは確り学んでおいてくれ」というメッセージが伝わってきます。

また、コロナ禍にてオンラインでの授業となっていましたが(ちなみにFall B Termからはハイブリッドに移行)、そういった制限の中どうやってクオリティを担保するかにも相当労力を払っている様子でした。それはそれでまた書きます。

さて、Fall Aの内容ですが、ミクロ経済学・統計・会計・人材管理・コミュニケーションの5つの科目を約1ヶ月半で修得するものとなりました。尚、各科目のExemptionも認められており、会計科目については私は少しバックグラウンドがあったので、Exemptionしました。このExemptionにおけるハードルも相応に高く、ちょっと勉強したことがある程度ではExemtionは認められません。そうした辺りにもTuckがコア科目を重視している様子が覗えます。では、以下詳細の紹介です。

1.Manegirial Economics

Fort教授(https://www.tuck.dartmouth.edu/faculty/faculty-directory/teresa-fort)によるミクロ経済学の授業。完全競争市場における短期均衡・長期均衡という基礎的事項に始まり、完全競争ではない市場において企業がどのように行動するのかを主にはプライシング手法を通じて学んでいきます。授業はケースが多く、アルミニウム市場、海運市場や漁師等々の様々な立場に立って、市場を経済学の観点から分析し、どのように将来を見通し、行動を起こしていくのかを考えていくことができました。個人的に、経済学って理論としては面白いけど、実際のビジネスにどうやって使うんだよ・・・と思っていたので、ケースを通じて実際のビジネスの場での応用力を身につけられたことは良かったかと思います。また、教授の教え方は、市場をどのように分析していくかという思考のフレームワークに重点を置いていたので、産業構造の捉え方を身につける上でも面白い授業でした。月曜朝一にも関わらず、教授の熱量が凄かった・・・

2.Analytics I

そうなんです。Iなんです。Fall BにはAnalytics IIが待ち構えており、統計という分野がコア科目においても以下に重視されているかが分かります。Dicision Treeの作り方に始まり、それに基づいたリスク分析の手法・意思決定の仕方を学び、後半はSPSSというアプリケーションを用いて回帰分析の手法について学んでいきます。経済学もですが授業の進むスピードが速く、毎回の課題をこなしていくのに必死でしたが、一応、回帰分析の仕方・読み解き方・各分析手法における問題点等を学ぶことができました。すごく沢山のことを学んだ気がしますが、まだこれで「I」なの?って感じです。統計の授業もケースが多く、ビジネスシーンからDecision Treeを作り上げていくことは、実際のビジネスの場で意思決定する際の頭の整理をする力を養うことに繋がったかなと感じます。

3.Managin People

人材管理(モチベーション、行動科学、倫理、ネゴシエーション等)について学びました。Feiler教授(https://www.tuck.dartmouth.edu/faculty/faculty-directory/daniel-c-feiler)は40歳以下の教授Top40にも選ばれたことのある教授で、授業へのエンゲージメントが半端ない教授でした。人材管理を教えているだけあり、生徒のモチベーション高め方や自分自身の魅せ方等、相当考えているイメージです。毎回、実験的に何らかのアクティビティに取り組んだ上で、そこに潜むバイアスを示しながら、それらにどのように向き合っていくかを学んでいきます。砂漠でのサバイバルについて、異様に良いスコアを叩き出した際に、教授から理由を問われ、漫画で読んだ知識をフル活用したと回答したところ、クラスメートの間で漫画好きと浸透してしまいました。海外でも日本の漫画は有名で、それをきっかけに漫画好きのアメリカ人(授業のズームの背景にはいつもハイキュー!!のポスターが・・・)とも食事にいけたので良かったです。話がそれましたが、この毎回のアクティビティで見事にみんなバイアスにハマっていくのが面白かったです。どんなに優れた人でも必ずバイアスには囚われるのだということを知った上で、リーダーを目指していくことが大切だと思います。

4.Managing Communication

所謂スピーチやプレゼンの授業。スピーチの質を高めるための理論や技法、効果的な資料の作り方を学ぶことが出来、ある意味一番実践で使える授業だったかもしれません。コンサルタントをしておられる方には当たり前のことかも知れませんが、Think-cell(資料作成サポートのアドイン?)最高すぎだろ・・・と感じました。Tuckは色んなアドイン機能を提供してくれるので、自分はさておき、PCのスペックばかりがどんどん強化されていきます。教授は元コンサルタントの方も多く、銀行勤務時代とは違った資料の作り方をマスター出来たほか、毎回の授業でスピーチやプレゼンをし、それを録画したものを自分で見て感想を提出することになるので、なかなか心を削られました。クラス全員からフィードバックも貰えるので、自分自身を改めて客観的に見る良い機会となりました。


ちなみに、会計学については僕はExemptionしましたが、周囲にはFall Aで一番良かったという人が沢山います。このExemptionの是非についてもそのうち書こうと思います。

各科目の学びの多さはそれぞれのバックグラウンドにも寄るところですが、改めて何かを体系的に学ぶことはとても良い機会となりましたし、コールドコールのドキドキに耐えたり、テストの点に一喜一憂してみたりと、久々の学生気分も満喫することができました。

Fall BはStrategy、Capital Market、Analytics II、Marketingです。Marketingの事前のReading課題が99ページあるのを見ると先が思いやられますが、頑張ります。

Tuckは、リクルーティングの繁忙期が1月頃に来ることを踏まえて、秋タームに必修授業(かつリクルーティングに役立ちそうな科目)を寄せており、冬は比較的フレキシブルとなっていますので、アカデミックとリクルーティングのバランスも取りやすくなっています。リクルーティングにあまり力を入れない人は、冬に選択科目をがっつりとって勉強まみれにもなれますので、ご心配なく。

それではまた。

Yuta (Class of 2022)

2020年10月9日金曜日

Tuckを選んだ理由と入学後の振り返り

初めまして。Tuck Class of 2022のYutaです。期末試験も無事に終わったので、ブログに初投稿してみました。

受験生時代には、各学校の日本人ブログを読ませていただき、面接対策等で非常に助かったので、自分も少しでも受験生の皆さんのお役に立てればと思い、これから少しずつ更新していきたいと思います。

今回は初回ということもあり、受検時代にTuckを選んだ理由と、実際に入学してどうだったかを振り返ります。

1.米国Top10スクールであること

受験生時代は基本的に米国Top10スクールを対象に出願していました。(どの学校がTop10かということには諸説あろうかと思いますが。)理由としては、Top10スクールであれば、教授/授業の質・学生のレベル・プログラム/学校のファシリティの充実度が高いであろうと思い、どこのスクールに行っても満足いく学生生活が送れるだろうと考えたからでした。

実際に入学してみて、これらの点は見込み通り、あるいはそれ以上に満足いくものでした。TuckにはストラテジーのD'Aveni教授やGovindarajan教授、マーケティングのKeller教授(コトラーと共著でマーケティングマネジメントを出版)、ファイナンスのFrench教授(ファーマ=フレンチの3ファクターモデルのファーマじゃない方。笑)といった有名教授も多数いますが、そういった方々に限らず、どの教授の授業も今のところ非常に面白く、学びも多いと感じています。学生を指導することに高いモチベーションを持っている教授が多く、特にこのコロナ禍のバーチャル対応においても、どのようにすれば学生に刺激を与えられるかを常に考えてくれています。実際、オンラインの授業に不満がほとんどなく、登校時間もセーブできるしこのままでいいのでは・・・と思うことすらあります。

学生のレベルについては、私の場合はCFAや中小企業診断士等の資格の勉強をしていた際の学習内容とコア科目が重複していることもあり、所謂お勉強そのものだけをとれば、おそらく他の学生にも負けていない印象を持っています。他方で、Tuckは留学生比率が約4割、女性比率が約5割、GMATのレンジも580-780といった米国の学校の中では多様性の強い学校であることもあり、知識の習得としての勉強以外の分野で、とても学びが多いと感じています。特に米国人の物事を直感的に捉える力やプレゼン力・魅せ方等は自分に欠けているものでもあるため、よく観察しています。全体的に、自分の強みと弱みを良く把握していて、どうすれば自分が貢献することができるのかを理解して動いている人が多いので、色んな人の強みを吸収していくと、自身の成長にもつながるかなと感じます。

プログラムについては、最近の潮流(テックとかESGとか)といえるような分野での選択科目が少ないので心配してましたが、実際には授業の外側で特別講義や有識者の講演等が多数あり、そういった分野も学ぶことができます。また、クラブ活動としてのプロボノコンサルティングや、授業外でのリーダーシップ開発プログラム(コーチング)、FYPやGIX等の実習系のプログラムも多数あり、積極的に参加していくと、沢山の機会が与えられている学校だと思います。


2.学生同士仲良くなりやすい学校であること

派遣職員としてロンドンで7年勤務しておりましたが、職場ですし、派遣職員という立場もあり、ロンドンにて日本人以外の友人と呼べる存在はあまり数多く作ることができませんでした。留学中は同じ学生という立場で共に時間を過ごせることになるので、是非沢山の友達を作りたいと思い、Tuckはその観点でとても良い学校だと考えていました。

都市部の学校にいくと、特に米国人は学校外にも友人が多かったり、また、1人で出かけても楽しいと思うのですが、Tuckにくると、田舎であるが故に基本的には皆Tuck生との付き合いが中心になっていると思います。そうした環境を選んで来ている人ばかりなので、周囲も同級生と仲良くなりたいと考えている人が多く、自然と友人が増えていきます。

私は先に単身渡米し、後に家族を呼んだのですが、1人で過ごしている間、料理もできずに飢えている日本人がいると、何故かメキシコ人の間で知られて、会ったこともないメキシコ人から自宅に招かれたりもしました。そのお返しに私の自宅前で一緒にBBQをしたりと楽しく過ごしてます。

また、1年目の間は固定のスタディグループで各授業の課題やケースの準備をするので、頻繁に顔を合わせることになり、これも学生同士の結びつきを強めることに寄与していると思います。スタディグループも多様性のあるグループになるよう考えられており、米国人のインベストメントバンカーの勢い、プロスキーヤーのリーダーシップ、インド人データアナリストの計数感覚等、それぞれ強みがあって面白いです。

そんなこんなで、「海外経験があまりなかったり、英語もそんなに得意ではないけれど、日本人以外の友人も沢山作りたい・・・」と思っている人にもTuckはおすすめです。勝手に友達が増えていきます。(ちなみに、日本人同士も仲いいですよ。同級生は私を入れて2人しかいないので、もはや戦友です。)


3.家族との暮らしを楽しめる学校であること

最後になりましたが、自分の学校選びの最大の観点であり、Tuckに惹かれた最大の理由でもあります。私は5歳の息子・3歳の娘を連れて留学していますが、ロンドン勤務時代は激務が続き、家族を随分犠牲にしてしまったと感じていました。なので、留学中は家族と過ごす時間を大切にし、また、妻や子供たちにとっても実りの多い生活になるようにしたいと考えていました。単純に海外で暮らす経験という意味ではロンドン生活で十分に得ていたので、何か特別な経験ができればいいなと思っていました。

その点、Tuckでは海外の田舎暮らしという金融機関勤めではあまり経験できないことができ、特にこの点子供にとっては非常に良かったのではないかと思います。家族連れの多くはSachem Villageというダートマス大学院生用の区画に済むことになるので、うちの子供は色んな家を訪ねたり、逆にうちに招いたりして、他の子供たちと遊んでいます。ちょっと外にでれば友人に会える環境というのは、特にコロナ禍にて学校生活が思うようにいかない状況下では大変貴重なものです。また、自然が溢れているので、一緒に山道を散策したり、リスを探したり、どんぐりを拾ったり、広大な広場でサッカーの練習をしたりと、子供の情操教育的な観点でも非常に良いかと思います。子連れ留学生同士は仲良くなりやすいので、私も子供を通じて友達が増えて楽しいです。また、子供の歳が同じということで、秋休み期間中に教授の自宅に家族で招待いただいており、もはや子供が私の留学生活を充実させてくれています。

また、Tuckはパートナーも授業を聴講できるので、妻は冬タームに税務関連の授業を受講する予定です。テストや課題の心配をせずに、MBAの授業で学べるなんて素晴らしい・・・。また、授業だけでなく、例えば入学前の海外研修旅行(ペルーとかクロアチアとか。内容的にはマチュピチュ見学とかもはや単なる遊び。今年はキャンセルになり残念。)にもパートナーが同伴できたり、クラブ活動等にも参加可能だったり、基本的に何でもパートナーの参加が可能です。スタディグループの飲み会にも普通にみんなパートナーを連れてきたりします。今はコロナ禍で制限も多いのですが、妻と一緒に楽しめるものをどんどん探していこうと考えています。

あと、受験時代にロンドンで出会ったアドミッションの方が、私の家族の名前を覚えていてくれて、いつもメールで家族のことを気にかけてくれていたこともとても印象的でした。学校をあげて、ここまで学生の家族のことを考えてくれるところは少ないんじゃないかなぁと思っています。

受験時代に、You will find many schools which you believe are the best fit for you, but Tuck is the best school for your familyといった趣旨の言葉を誰かから聞きましたが(誰から聞いたかは忘れました。笑)、本当にその通りだと思います。多分他の学校でも私は楽しめたと思いますが、家族、特に子供にとってはTuckが最高の学校だと感じています。なので、お子様を連れて留学することを検討している方は、是非Tuckも選択肢に加えて見て頂けると嬉しいです。

他にもTuckの宣伝をしたいところですが、長文になりましたので、今回はこの辺で。

Yuta

2020年7月28日火曜日

Tuck Official Information Sessionのご案内 8/14(金)開催

8月14日(金)にAdmissions Officeが、以下のとおりOfficial Information Session with Tuck Alumni from Tokyoをオンラインにて開催します。全米最古の歴史をもち、小規模校ならではのインタラクティブなコミュニティ、チームワークを体感できるトップビジネススクールの一つ、Tuckの魅力を是非この機会にご確認ください。


日時:        2020年8月14日(金)20:30~22:00 (日本時間) ※07:30~09:00 (米国東部時間)

お申込み:       以下のリンクからお申込ください。
https://apply.tuck.dartmouth.edu/register/?id=e6b91ca1-07a4-42d7-ba13-66539b2e80a1

※定員に達した場合には締め切りにする場合がございますので、お早めにお申し込みください。


当セッション以外のイベント情報はこちらをご参照ください。
https://www.tuck.dartmouth.edu/admissions/online-events



説明会について、ご不明な点、ご質問がございましたら、Admission Officeまたは以下までご連絡ください。
tuckjapan.dartmouth(アットgmail.com)

皆様のご参加お待ちしております!

2020年6月12日金曜日

First-Year Project (FYP)は良いプログラムである

タイトルのとおりです笑。FYPは、TuckのSpring Term(3~5月)に行われる必修授業。クライアントの現実の経営課題に対してコンサルティングを行うもので、MBA1年目の言わば総仕上げ的な位置づけです。必修で同様の科目を持っている学校は意外と多くないですね(Michigan RossのMAPなど)。

私は正直、FYPにはさほど期待していませんでした。というのも、昔参加した同様のプロジェクトがパッとしなかったからです。クライアント側は、無料なんだし、良いアイデアが出ればラッキー、という感じ。参加者側も、とりあえず1つ提案を作ってみました、という程度だったからです。

ただ私は実際にFYPをやってみて、すごく良い経験になったと感じています。


(1)プロジェクトの質が高い

クライアントは売上高が兆円規模のグローバル企業。そして、今回のプロジェクトの内容が、会社にとって非常に関心の高いテーマ。片手間で、ちょっと学生に考えさせてみようか・・・という温度感ではありませんでした。実際に、20名近くの社員にインタビューをさせてもらいましたし、中間・最終プレゼンには15~20名程度の社員が出席してくれました。TuckのFYP事務局の不断の努力と過去の実績のおかげで、質の高いプロジェクトが引っ張ってこれるのだと思います。


(2)Faculty Advisorが常にプレッシャーをかけてくる

週に1度45分、Faculty Advisor(FA: 担当教授)とのミーティングがあります。私のチームのFAはManagement CommunicationのJulieでしたが、プロジェクト全体の進捗が刈り取られることは勿論、Ichiroあなたは今週何をやったの?あなたのタスクの進捗はどうなの?(他の人のスライドについて)あなたはこのスライドをどう変えるべきだと思う?などと、コールドコールが連発されるため、適度な緊張感を維持できます。そして必修科目なので、メンバーが途中でドロップアウトすることもないし、全メンバー真剣にならざるを得ないっていうのもいいですね。


(3)チームワークの学び

FYPは学生5人1組で取り組みます。そして、全ての授業の中で、チームで過ごした時間は、このFYPが一番長かったです。そんなチームワークの中で、リーダーがやる気ありすぎて他のメンバーに対してパワハラ気味になってきたぞとか、メンバーの一人が母国に帰って時差のせいで全然捕まらないとか、マイペース過ぎて全然期日通りに動いてくれないメンバーにリマインドしまくるとか、十分なコンセンサスなしにリサーチやったら全然役に立たなかったとか、膨大な情報量をくれるメンバーがいるけど膨大過ぎて全然消化しきれねーぞとか、就活と同時並行中のメンバーにはどう気を遣おうとか、色々な経験ができます。その中で、このやり方はうまく行ったな、この人のコレは真似しよう、あの人のアレは真似しないようにしようとか、気付きがあります。


(4)情報検索スキルを学べる

クライアントに応用できる先行事例を探すために、図書館(Feldberg Library)のスタッフにケースや記事の検索リソース、上手な検索ワードの使い方等、色々と教えてもらいました。またチームメンバー同士でも、有益なポータルサイトを相互に教え合い、実際にそれらを使っていく中で、情報検索スキルを学べました。プロジェクトを通じて強く感じたのが、ピッタリくる先行事例を探すという作業自体が一番大変だったこと。普段の授業では、ケースを読むことすら面倒くせーなと思ったりもしていましたが、読むべきケースを与えてもらえることって贅沢甚だしいなと反省しました。


(5)コミュニケーション

チームの中の役割分担では、Client Engagement Managerというポジションに名乗り出てみました。私は海外経験が全くない(仕事で英語に触れた時間も、8年累計で2時間くらいだと思います笑)ので、正直英語のビジネスメールの挨拶すらよくわからず、1通メール打つのにもプレッシャーを感じていました。が、FYPの中で、クライアント、教授、卒業生など50人くらいにコンタクトを取り、30人くらいに実際にインタビューし、その過程で数百通のメールを五月雨式にやり取りする中で、基礎的なビジネススキルを学び、また必要以上に気を遣わずにコミュニケーションを取る度胸は身に付けることができたと思います。私同様海外経験がない方にはこのポジションはおススメです。


(6)ハードスキル

クライアントの業界、プロジェクトに関連する知識、ロジカルシンキング、プレゼンテーションスキルは当然鍛えられます。守秘義務のため詳しくは触れられません、悪しからず。


前述のとおりFAからのプレッシャーは強く、毎日のようにインタビューもやっていたので、FYPはかなりストレスフルでしたし、FYPがなければもっと楽だったな、という風にも思っていました。実際Spring Term(3~5月)の労力の半分以上はFYPに割かれました。でも同時に充実感はずっと感じていましたし、他の科目では学べないことをFYPが補完してくれているように思いました。

もちろん他のMBAでもクラブ活動等を通じてコンサルの機会は数多くあると思いますが、オフィシャルな必修科目であるからこそ、質の高いプロジェクトに、全メンバー強い責任感を維持しながら取り組めるのだと思います。3つも4つも中途半端に取り組むより、質の高い1つに真剣に取り組む方が学びがある。なので、First-Year Project (FYP)は良いプログラムであるというのが、私の結論です。

P.S. 最近はNew Hampshireでも多くの人がマスク付けています!

2020年4月1日水曜日

コロナウイルスの影響下でのTuck生活


Why Tuckについてもう1つ書こうと思っていましたが、現状報告の方が優先度が高いので、少々書きたいと思います。


コロナウイルスの影響概要

現時点で全米のコロナウイルス(COVID-19)感染者数は約20万人。Tuckの所在するNew Hampshire州は367(人口136万人)、すぐ隣のVermont州は293(63万人)です。


全米的な集会禁止等のルールに加え、NH州は3/285/4の期間でStay-at-home Order、いわゆる外出禁止令が発動されています。不要不急の外出を禁止するものであり、日用品の買い物、ランニング、ペットの散歩等はソーシャルディスタンスを確保している限り、問題ありません。ジムからのシフトなのか、ランニングしている人はむしろ増えている印象です。

レストランは軒並みクローズかテイクアウト専用となっています。スーパーは人が若干少なめで、レジ前にはレジ待ちの客の距離を確保する目安のテープが貼られています。食品は缶詰などの保存食も含めほぼ問題なく入手できます。トイレットペーパー等は品薄ですが、少し探せば見つかる程度にはあります。スーパーへのマイバッグの持ち込みが禁止されましたが、マスクをしている人は10%以下です。

あとドミノピザの車は本当によく見かけるようになりました。Amazonはじめ宅配等にも特段支障はありません。

Sachem Filedsまでのサイクリング(約1分)


Tuckの対応について

対応は早かったですね。2/28時点で3月中旬のすべてのTuckGOを中止するという通知があり、3/2に説明会が行われました。この時点では、コロナウイルスはほぼアジアに限定されており、米国にとって対岸の火事であったのみならず、欧州の流行すら起こっていません。私が行く予定だった南アフリカについては感染者数ゼロでした。学生からは不満も聞こえましたが、後手後手でない、適切なリスクマネジメントだなと感じました(結果論ではなく)。

3/11には、春学期(3/23~)の最初の2週間のオンライン化が通知され、3/17には春学期全体のオンライン化が決定しました。また、全ての学生イベント、クラブ活動による集会等も禁止されました。これに伴い、半数前後の学生が、母国や故郷から授業を受けることを選択しています。


Tuckでの経験について

授業は全てZoomというビデオ会議システムで行われており、Tuckではリアルタイム受講が原則です(録画視聴不可。他校は可のところもあります)。通常の授業を100%とすると、90%100%の範囲のクオリティが保たれています。以下詳細。

  • 音声や画質に問題なく、ビデオだから授業が聞き取りにくいということは一切ない。またほぼ予定どおりカリキュラムが進捗している。
  • 学生はシステム上のボタンで挙手し、教授に当ててもらう。コールドコールも健在。発言中に人に見られない分、プレッシャーは少ない。挙手するレベルじゃない質問や回答は、チャットボックスでこなされ、その点普段の授業より効率がいい。
  • 「周りの学生と5分話してみて」という時は、Breakout Roomという機能が使われる(学生が数名ずつのグループにランダムにアサインされる)。メリットとして、①毎回メンバーが違う、②システムに制御されているため制限時間内に必ず終わる、ということがある。
  • クラスメートの名前がずっと表示されるのが本当にありがたい。本当に。本当にありがたい。
  • 授業中にご飯を食べることに抵抗があった純ドメ日本人でも、気にせずご飯が食べられて、少しアメリカ人になった気持ちになれる。


First Year Project(コンサルプロジェクト)も、顧客対応はおろか、チームミーティングも全てオンラインです。これは正直やりにくいです。「顔を合わせて話せば楽なのにな」と思う部分がある一方で、今後テレワークや、オンラインでの内部・顧客とのコミュニケーションが間違いなく進展する中で、良い練習になっているようにも感じます。

お互い何をしているか目に見えないからこそ、情報共有や、思い込みで動かずコミュニケーションをとることの大切さに気付きます。また、顔を合わせてやっていたことを、そのままオンラインでやろうとすると、ただただ非効率になるので、従来の発想にとらわれない工夫を考えよう、という意識を常に持つようになります。

最後に、クラブなどの集会は全て禁止されましたが、Zoom上では色々なイベントが企画されています。たとえば毎週木曜日夕方の飲み会、Tuck Tailも健在で、今週はJewish Clubホストします。

我々T21の場合は、対面で過ごした秋学期、冬学期があるからこそ、オンライン化を乗り越えられている面は否めません。したがって、今夏もしくは来夏の進学を考えている方の経験は、また違ったものになるのかもしれません。とはいえ、コロナウイルス下でのTuckやMBA生活がどのようなものなのか、少しでも参考になった部分があれば幸いです。

2020年3月25日水曜日

Why Tuck? 続編

在校生として感じる、ギャップで見たWhy Tuck?について続きを書きたいと思います。


授業と教育が意外としっかりしている

正直、私は授業についてはほぼリサーチをしていなかったですし、多くの受験生の方もイメージはないと思いますが、満足度は高いです。これまで受けた授業の中でも、以前書いたTaxes and Business Strategies (Robinson教授)は本当に学びの多い授業でした。Global Economics for Managers (Bernard教授)は、現実社会を、経済理論と直観を見事に駆使して理解する素晴らしい授業でした。学んでいるテーマはベーシックであるにもかかわらず、その深堀り方や多面的なとらえ方がエグいので、過去に経済学を勉強した人にとっても新たな発見の多い授業です。

Stocken教授のFinancial AccountingとCheng教授のCapital Marketsは、授業が超わかりやすく面白く、特に金融・会計のバックグラウンドがない方にとって価値があると思います(バックグラウンド次第ではWaiveも選択肢です)。

それから、Winter Termで取り組んだIndependent Studyでは、Eckbo教授に指導教員になっていただき、面白くて優しいおじさんだな~くらいに思っていたのですが、ファイナンス界では相当な権威のようです。他にも○○○の50人とかみたいのに選ばれている教授はゴロゴロいます。

勿論、すべての教授と授業に大満足ということはありません。たとえば、新任の教授の授業は、何年も教えている教授と比べると見劣る部分があるのは否めないと思います。それでも、どの教授も学生からのフィードバックには真摯に応えて授業に活かしてくれます。「Tuckという小さいムラでは、評判がものすごく大事」ということが、教授にとって健全なプレッシャーになっているんだと思います。

もしTuckは全体的には良いけどアカデミック面でどうなの?と考えている方がいるとすれば、そのイメージは捨ててもらって大丈夫です。


意外と便利

私が知る限り車で10分程度の範囲内に、スーパーはCOOP3店、プライスチョッパー2店、ハナフォード、Shaw'sがあります。同圏内に大型店のWalmartとKmartもありますし、納豆や油揚げも買えるYipings Asian Market、Stern’sという安くて美味しい八百屋さんもあります。

Dartmouth Coachに乗れば、ボストン市内・空港まで3時間、New YorkのGrand Centralまで5時間です。ボストン行きも十分なクオリティですが、New York行きは椅子がもっと良いので5時間有意義に過ごすことができます。両方ともWifiとトイレ付きです。

それからMaine州のポートランドまでは車で3時間程度であり、渋滞皆無なので気分の良いドライブができます。そしてポートランドでは、なんと塩水ウニやタラの白子、あん肝が買えます。というかここはアメリカ随一の海鮮の街で、牡蠣やロブスターも楽しめます。リッチな方々は、ポートランドにサマーシーズン用の家を持っていて、冬季のフロリダの家と使い分けているそうです。だから、夏は人口が倍になるとのこと(「観光」ではなく「移住」でです)。

当然、ニューヨークやロサンゼルスほどの便利さではありませんが、代わりに自然・治安・物価・渋滞フリーといった環境メリットを享受できます。


↑ ポートランドの和食レストランで食べたあん肝



↑ 生ガキ



↑ 買って帰った塩水ウニ


2020年3月19日木曜日

Why Tuck?

Tuckでは3月のSpring Breakの間にFYP GOやGIXなどの海外プロジェクトが行われるのですが、今年はコロナウイルスの影響で中止になりました。残念ですが、仕方がないですね。また、春学期の授業は全てZoomを使ったオンラインで行われるようです。これはTuckだけではなく、私が知る限りほぼすべてのMBAが同様の対応を取っています。


受験生の皆様においては、Tuck含め各校の2ndの結果が出ているところかと思います。中でもこの時期悩ませるのがWaitlistedの扱い。どれくらいのオッズの賭けなのかもわからないのがストレスフルなところだと思います。

私の場合は全8校出願し、3校がWaitlistedでした。で、私の場合は、Tuckの志望度が高かったため、Waitlisted校には全くアクションを起こさずに辞退をしました。が、もしTuckの志望度が高いのにWaitlistedになってしまったという方がいれば、是非もうひと踏ん張りアクションを取ってほしいと思います。

理由としては、

①Waitlistedは、そもそもアドミッションからのポジティブなサインであること
②Tuckのようなスモールスクールでは、国籍や職歴の調整の可能性が高いこと=同カテゴリの合格者が他校に流れて辞退すれば、空席ができる可能性がある
③その空席をめぐっては、多くのwaitlistedの受験生が積極的な行動をとらないこと=少しの労力で、他のWaitlistedの受験生と差別化できるのでコスパが良い


さて、今日はWhy Tuckについて書きたいと思います。コミュニティ、ゼネラルマネジメント、リーダーシップ教育への注力等については既にご存じだと思うので、私が個人的に感じたギャップ、つまり入学後に気づいた良さを書きたいと思います。

また、エッセーの時期でもないので、高尚な建前よりも本音ベースで、具体的なメリットに焦点を当てたいと思います。


同級生が300人未満というスモールスクールならではの機会

入学前は想像してもいませんでしたが、著名な方と少人数で話す機会がふんだんにあります。私は、ゲストとしてTuckに来たCXO、教授、政治家等とのランチに数回応募しましたが、希望は全て叶い、学生数5名~10名という環境で聞きたいことを色々と聞くことができました。特にT’96でLIXILの瀬戸CEOが来校した際は、瀬戸CEOとLIXILの方1名、学生4名、教授1名という超少人数で話す機会がありました。

もう少し補足をすると、過去の記事にもある通り、Tuckはその辺鄙な土地柄、ゲストは泊りがけで来校します。ゆえに授業で90分間講演してトンボ返りということはなく、授業+ランチセッション+ディナーセッションと様々な機会がセットされます。この超少人数でのゲストとのinteractionはTuckならではのメリットです。

また、より大規模な講演等もありますが、大規模と言っても参加者は~150人程度です。なので、質問したくて挙手をすればほぼ確実に自分の番は回ってきますし、講演終了後に個人的に話したければ1人や2人待てば簡単に話せます。

長くなったので、他のメリットは次回にします。

2020年2月6日木曜日

ハードスキルの面白さ

冬学期が始まり1か月が経ちました。1年生は冬学期からElective Courseを履修できるのですが、私はTaxes and business strategiesという授業を履修しており、毎週水曜日と木曜日の8:30~10:00が授業です。

この授業、学生からのEvaluation(5段階評価)はイマイチなのですが、理由は、宿題が多すぎるからだと思います(笑)。毎回数十ページの難解なReading assignmentと、2ページ相当のアウトプット提出を求められます。昨日のReadingはその中でも特に難解で、教室に行くと、「今日の宿題は大変だったと思うから、ドーナッツを用意しておいたわよ(笑)」と教授。ちなみに来週の水曜日のアウトプットの方は、これまでで一番難しいそうです。プリンでもいただけるのでしょうか。

さて、実際の授業(宿題も含め)ですが、率直にめちゃめちゃ面白いです。「節税の授業でしょ?倫理的にどうなの?」と誤解されるかもしれませんが、それはちょっと違って、「税金で足元をすくわれないようにしましょう」です。たとえば、こんな例がありました。


『創業赤字で将来に繰り越せる欠損金を持つ上場企業X社があるとして、最近Aさん~Jさんという10人の個人投資家が、それぞれ6%ずつX社に投資しました・・・。』


「それで次はどうなるの?」という感じですが、もう既にこれが大問題なのです。10人の投資行動のせいで、繰越欠損金の価値が暴落、つまり過去の欠損を将来の利益と相殺できる余地が、極端に小さくなるのです。これは、Ownership changeといって、株主構成が50%以上(10人×6%)変わったんだから、もう違う会社でしょ?だから相殺は認めません!ということのようです。

怖いですよね。この他にも、これまで10回の授業の中で、ストックオプション等の報酬はもちろん、個人事業主・LLP・株式会社といった経営体毎の課税上の取り扱いの違い、三角合併や自己株式取得と、幅広いテーマを学んでいます。こういうテーマって、Taxを抜きにしてもよく理解していなかったことですが、この授業をきっかけにTaxという視点を通じて経営全体を学べている感じがして本当に楽しいです。

ちなみに担当教授はLeslie Robinson。今初めて知りましたが、She is among Poets and Quants 40 best business school professors under the age of 40だそうです。Tuckってコミュニティとリーダーシップのイメージが強くて、アカデミックはどうなの?という印象があるかもしれません(?)が、学べることはめちゃめちゃ多いです。

就職活動に追われながら履修することはお勧めしませんが、就活のオフシーズンや社費の方には是非受けてほしい授業です。

2020年1月10日金曜日

ゼネラルマネジメント重視のカリキュラムについて

冬学期が始まりました。現在、1年生はインターンに向けた面接のピークです。普段Tuckの雰囲気は和やかですが、今は自習スペースが少し静かだったり、皆が電話の呼び出しに神経を使っている様子なども伝わってきます。

さて、Tuckはコア科目が多いカリキュラムですが、関連する質問をいただく機会も多いので、私が感じた「ゼネラルマネジメントのカリキュラムって何?」という点に関して、ランダムに書いてみたいと思います。


受けてみると面白い授業がある
私の例でいえば、Analyticsという授業には特に期待はしておらず、仮にコアでなければ履修しなかったと思います。しかしながら実際受けてみると、面白く、学びが深く、将来応用できる内容だなと思い、Fall termのベストの授業の1つだと思っています。

バランスが実に良い
本当にそう思います。コア科目をすべて履修すれば、これからの社会に生きる経営者として必要な領域は抑えられると、そう思います。しかも、コア科目はハードなので一定の知識水準に達することができます。一定の水準というのは、専門家レベルではないが、専門家とまともに会話し質問ができるレベルです。仮に選択科目だったとしたら、例えば、皆さんはFinancial accountingを自ら履修するでしょうか?Capital marketsを自ら履修するでしょうか。もし答えがNoであれば、企業会計とか資金調達の視点がすっぽり抜け落ちた思考をしがち、そのせいで遠回りをしてしまったり、周囲がツッコミをくれなければ最悪間違った判断をする、そんな経営者になってしまうかもしれません。

学びたくない分野もわかる
前項のとおり一定の水準の知識を身に付けたうえで、「この分野は自分の領域じゃないな」と思う分野もあぶり出されます。私の場合、Marketingの授業はきつかったです。留学前は、Marketingを学ぶのも面白いかなと思っていましたが、そもそも感性が著しく弱い人間である上に、アメリカ人的な感覚のMarketingの事例に触れてもピンと来ず、やっぱり向いてないと確信しました。ゆえに、選択科目でMarketing系を履修することはなさそうです。それでも、Marketingの知識は一定程度ついたわけです。

Waiveする人は結構いる
留学前に、Study groupの結束を強めるためにもコア科目は全部取ったほうがいいと聞いていたので、1つもwaiveはしませんでした。実際は、それなりにwaiveしている人がいて、Financial accounting>Analytics>Capital marketsの順にwaiveしている人が多い印象を受けました。私は銀行貸出業務8年、証券アナリスト保有、簿記2級というスペックですが、振り返ってAccountingとCapital marketsは内容だけで言えばwaiveしても良かったと思います(もちろん、一定程度の学びはありました)。一方で、純ドメの私にとっては、これらの科目は周囲にしっかり貢献できる希少な機会でありました。また、以前の記事(教授同士の連携について)にも書いたコア科目間で連携、waiveをするとその醍醐味は失われます。

今から選択科目を取っていけば十分に専門性も高まる
Tuckでは1年次に1科目、2年次に12科目の選択科目(1科目:週2コマ×9週間)を取ることが卒業要件です(週1コマ相当のミニコースは0.5科目換算)。取りたければもっと多く取れます。私は今週からTax and business strategiesという選択科目を履修していますが、これが初回からマニアックな授業でして、コア科目とのギャップに驚きつつ、こういう選択科目を13科目も取っていけば、いくつかの分野で専門性は十分身に付くんじゃないかという手ごたえを感じています。

知識ゼロからの学びの難しさ
専門性を磨くこととゼネラルマネジメントは結局トレードオフで、好き嫌いだと思います。ただ、どうでしょう。ある分野で、知識ゼロから知識1にすることってめちゃめちゃ難しくないですか?どこから手を付ければ良いかわからない。あることが要点なのか些末な話なのかもわからない。調べ方もわからない。一方で、1の知識があれば、それを2にすることって意外と自分でもできちゃう。勘所がわかるから。2は3にできる。3は4にできる。信頼できる教育機関で、あらゆる分野の知識レベルを1に引き上げられるのは、私はとても効率が良いように思います。