2019年11月15日金曜日

教授同士の連携について

Capital Marketsの中間テストが終わりました。来週はプレゼンやらマーケティングシミュレーションやらで忙しそうですが、テストの終わった日くらいは、ぼーっと生きたいと思います。

さて、TuckのFall AとFall Bはコア科目のみで構成されていますが、これらコア科目間での教授間の連携の濃さは、Tuckの特色ではないかと思います。


事例1:ある授業で使われたCaseを、他の授業で再利用することが頻繁にあります。たとえば最近のAnalyticsの授業ではMarketingのCaseが再利用されていました。また、Management Communication(プレゼンスキルを学ぶ授業)の最終プレゼンは、過去に取り扱った他の授業のCaseをテーマとしたものでした。

事例2:Managing Peopleで「意思決定の影響を受ける人は、その意思決定プロセスのテーブルにいるべきだ」という概念について学んだ時、教授が「コア科目の中で、思い出すことはないか?」と学生に問いかけ、そして次の瞬間に表示されたのがManagerial Economicsの外部不経済(※)の授業スライドでした。

事例3:Kopalle教授のAnalyticsで、需要と価格の関係を扱う際には、「価格の変化に対してどれだけ需要が変化するか」という視点で分析するため、価格がX軸、需要量がY軸となっていました。それに先立つManagerial Economicsでは逆で、X軸が量でY軸が価格です(ミクロ経済学を勉強したことのある方はわかると思います)。学生の間でちょっと「あれ?」っとなったところを見計らって、Kopalle教授がおもむろに動画を再生。その動画は、EconomicsのJoe Hall教授とKopalle教授が、価格と量どっちがX軸でY軸かを議論するというコントでした。


上記はほんの一例にすぎません。また、お互い他の教授の授業スライドとかもめちゃめちゃ見ているようで、「前回●●の授業で見たでしょ?」とか「これは××教授が今朝説明したと思うので割愛して・・・」とかそういうセリフが頻繁に出ます。このコラボレーションには様々なメリットがあって、


(1)単純に面白い。事例3は単なるギャグですが爆笑でした(Senior Associate DeanとAssociate Deanのいわば一発芸ですからね(笑))。残念ながら動画はTuck内で厳重に管理されているとのことなので、是非Tuckに進学して見てください(笑)。

(2)記憶の定着に役立つ。

(3)事例1のCaseの再利用については、Caseを読む時間を節約しながら、ある概念を現実の世界にどう適用するのかを学ぶことができて効率が良い。

(4)ある分野の知識と、別の分野の知識の、接合点を理解することができる。つまり科目ごとに学ぶ断片的な知識を、General Managerとしての体系的な知識に昇華させる補助になる。


上記は私が気付いたメリットですが、他にも認識していないメリットがたくさんあるような気がします。本当によく練られたプログラムだと思います。

※例:工場の排水により川下の漁業者が被害を受けるとする。工場に浄水装置を付けるかどうかの意思決定に漁業者がかかわらなければ、工場は自らの利益最大化のためには浄水装置を付けないという意思決定をし、社会全体としての資源の最適配分が実現されない。