2014年12月31日水曜日

2014年振り返り

よくあるように、「MBAは最高の経験です!」と言葉を並べるのは簡単ですが、もう一歩踏み込んで言うならば、自分がTuckDartmouth)に居ることが出来て幸せな理由は、同級生と過ごしている時間の密度の濃さにあります。同級生と毎日熱く教室の中で議論を交わすというのは、どこのビジネススクールでも割と同じことと思います。それに加えてTuckでは、例えば私は三階建ての一軒家を借りて同級生と独身男性8人で共同生活を送ったり、或いはアメリカ人11人と私で一緒に4週間に亘ってバックパッカーとして南米旅行をしてみたり、或いは週末を利用してアメリカ各地にある同級生たちの実家まで遊びに行ったり。逆に私も多くの同級生に自分の両親を紹介することが出来ました(今年春のJapan Trek)。MBAとはおそらく教授からフレームワークの数々を教わることのみを指すのではなく、世界中から集まった優秀な同年代の仲間たちとお互いを刺激し合うという体験の全てを指すのだと思います。そういう意味では、私は日本人が少ない学校を選んだことが幸いしました。2-3ヶ月に亘って日本語を一言も発しないなんてこともありました。それぐらいアメリカの同級生たちの輪の中にどっぷりと浸かる機会が自分にはあったということであり、これは運が良かったとしか言いようがありません。

(自宅、通称”Bear Pit”にて。日曜ブランチの後に何気なく撮影した一枚。皆と一緒に住めるのもあと半年)

Tuckは同級生が全てです。何故ならば、同級生全員がそれぞれに異なるリーダーシップスタイルを持っていて、彼等と密度の濃い時間を過ごすことによって、そこから学べることが山ほどあるからです。結局、一番の学びは教室の中ではなく、教室の外にありました。教室の外で同級生と過ごす時間が多ければ多いほど、密度が濃ければ濃いほど、得られるものが多いというのが私の結論です(得られた学びに関しては、『MBA一年目のtakeaway』ほか、今年一年間のブログ投稿は何れも参考になると思います)。生涯の友、生涯のライバル、そして生涯の目標である同級生たちと出会えたことを、私は幸運に思っています。

Be happy
Be aggressive
Be nimble & focused
Always have a story to tell(『それぞれのリーダーシップ』より)

今年も残りあとわずか。どうぞ皆さま、良いお年をお迎え下さい。
2015年もTuck Life - MBA @ Hanover -“ブログを宜しくお願いしますm(__)m
Happy new year!!

列車は使わず、皆でテント生活をしながら丸4日間歩き続けた末にようやく辿り着いたマチュピチュ。
これまで自分が経験したことのある中で、最もしんどいハイキングコースでした)

よしかん(T’15

2014年11月14日金曜日

人を動かす

Tuckの校内に、Tuckグッズを販売しているTuckStuffという名前の店があります。

この店は完全にTuck生のみで運営されています。学校側は場所を提供するだけで、運営には一切口を出しません。現在、現役2年生6名及び現役1年生7名の計13名がスタッフを務めていて、13人の有限会社のような状況です。どういった商品を置くのか(Tシャツ?カバン?ゴルフボール?ワイングラス?)という商品デザインから、調達、プロモーション、店内販売業務まで全てをこの13名で行います。いま中心メンバーとなっている2年生は私の同級生に当たりますが、彼等は今年から以下2点に新たに力を入れました。

① 新作商品が入荷される度にFacebookでプロモート
② これまで補足販売的な位置付けにあったweb経由での販売にも注力(webコンテンツの整備、積極的なプロモーション)

その結果として、今年に入ってから売上が驚異的に伸びたようです。TuckStuffの主要取引先はPatagoniaで、TuckStuffの商品デザイン担当は頻繁にPatagoniaと新商品に関する意見交換を行っています。Patagoniaから見ても、全米各地の販売の中でTuckStuffに於ける販売率が非常に好調なので、同社からTuckStuffに『どのようなマーケティング手法を採用しているのか?』との問い合わせがありTuckStuffがプロモーション内容をPatagoniaに紹介するということも今年はありました。

TuckStuffは学生による自主運営ですが、学校に対して帳簿内容を全て公開して、TuckStuffの利益は全額Tuckに収められます。働いている13人に対して一切給料は払われません。相当な時間と労力を費やすことになりますが、『自分たちでTuckStuffを経営する』という経験を得る為に学生たちは関わっています。TuckStuffのスタッフを務める同級生の内3人にTuckStuffに関与するモチベーションに関して聞いてみました。

投資銀行に進むことが決まっているC(男性)は、『投資銀行に進んで今後様々な企業にfinancialなアドバイスをしていくであろう中で、自分自身が実際の企業の帳簿を作るという経験を積んでおきたかった』と述べています。彼はTuckStuffでは会計を担当しています。

TuckStuffで調達を行っているV(女性)も、次の自分のキャリアを見据えて経験を積んでおきたいという点に於いてCと同じでした。『今後リテール向けコンサルティングに進んでいく中で、自分自身がリテール業務を正しく実務として理解しておく必要がある』とのこと。

COOを務めているH(女性)からは、少し想像と違った回答を得られました。『自分が一番興味があるのはHR。従ってどのように人を動かすのかということに関心がある。スタッフは13名とも前向きにTuckStuffに取り組んでいるが、当然にモチベーションのレベル感や興味の方向性は異なる。そういう中で人を纏めていく経験を積んで、自分の次のキャリアに活かしていきたい』とのこと。

特に最後の人を動かすというのは説得力のある話だと思いました。ビジネススクール、リーダーシップ、というのは結局はどのように人を動かすのかということに繋がっていきます。Tuckの同級生は皆非常に存在感のある人たちですが、それぞれが異なる方法で周りの人を惹きつけていっている点が非常に興味深いと私はいつも思っています(その辺りの頭の整理は過去の投稿もご参照下さい)。

キャンパスビジットでTuckに来た際には、是非TuckStuffにも立ち寄ってみて下さい!

(この日居なかったスタッフが1名居るので写真は12名です)
よしかん(T’15

2014年11月9日日曜日

Being an international student at Tuck

どこのビジネススクールに入学したとしても、それぞれの学校の魅力があるので、当然それぞれに異なる体験をすることになります。Tuckでは、international student(この場合、『非アメリカ人』)は特に異なる体験をすることが出来るのではないかと個人的には思っています。我々は集団の中に放り込まれると、人種グループ毎に固まってしまう性質を持っているようで、科学的にも証明されているみたいです。それを知ってか、海外留学では必ず『日本人同士で固まっていたら英語も伸びないし、私はそういうことはしません!』と宣言している人を見かけたりします。私の場合、Tuckで何かを特に意識して行動したことはないのですが、結果的に他の国の人より日本人と過ごす時間の方が長いということにはなっていません。人種グループの議論で言えば、アメリカ人よりもアジア人と共に行動することが多いということもないです。それは何故か?

Tuckは小さく且つ密なコミュニティーです。1年生では単身者の多くが寮に入ります。パートナーと共に留学している人のほとんどはSachem Villageに住みます。2年生になると(部屋数の関係で)入寮者は退寮する必要があるのですが、その後は同級生と学校近くに部屋を借りてルームシェアするパターンが一般的です。つまり、同級生同士いつも一緒に居ます。キャンパスで、授業中、授業後、アイスホッケーの試合で(Tuckでは皆ホッケーが大好きです、たとえヘタクソであったとしても - 私のように!)、街のbarで、house partyで、そして週末も。長期の休みになれば、同級生と共に旅行を企画したりします。Tuckでの一年目を振り返ってみると、私は単身で留学しているので特にそうなのかもしれませんが、同級生と一緒ではなかった時間がありません!そして何よりも重要なことに、Tuckは学生数が少ないので、キャンパスに居る全ての人と顔見知りです。

以上がTuckの人間関係の秘密です。Tuckでは、人同士の距離が近く、全員が知り合いです。人種や国籍のことを意識する前に友達が出来てしまうというのが実態です。私はTuck外の日本人の友人たちと話をする中で、『International studentが自分の国の人同士で固まってしまう』という話を実例として聞くことがあります。生徒数の多い学校では、自分の周りに居るアメリカ人の絶対数も多い筈なので、逆にそういった人たちとの距離が遠くなってしまうという話を私はとても興味深いと思いました。もちろん私も同じように人種グループで固まっていた可能性はあるのですが、Tuckの文化が異なる方向に私を導いてくれました。とても幸運に感じています。

いま私が最も楽しみにしていることは、今年の冬休みです。冬休みも同級生と旅行をします(10人以上で旅行しますが、たまたまinternational studentは私一人です)。私にとって同級生と過ごす時間は何よりも大切で、それは同級生から得られる学びが一番大きいからでもあります。Being an international student at Tuck means a lot to me.

(いつものメンバー)
よしかん(T’15

2014年11月1日土曜日

Mission Statementの進捗

Everyone needs a goal in life. という訳で、ご参考までに私のTuckに於けるMission Statementを紹介させて戴きます。こういうものは入学前、或いは入学してすぐ作成することに意味があるので、私も昨年の20139月(Tuckに入学してすぐ)にこれを作成しました。私はfinance backgroundが全くないので、多少内容が偏っていますが・・・。

Tuckで自分が得たいもの】
1. ハードスキル(特にファイナンス)
2. 世界のエリートたちとの比較を通じた自分の立ち位置(実力)の把握
3. アメリカ文化(特に北東部の文化)に対する更なる理解

Tuckに自分が提供したいもの】
1. 日本人の国際競争力の証明
2. 自分のエネルギー業界での経験及びアジアビジネスに関する知見に基づく、クラス及びスタディーグループへの貢献
3. 日本に於けるTuckブランドの地位向上

私がMission Statementで述べていることは具体的なaction planですが、実際にこれらを実践することで以下3つの問いに対する答えが見えてきたことに、今はMBA留学の意義を感じているところです。

自分は今どこに居るのか?
世界中から集まった同世代の仲間たちと自分を比較することで、『自分の強みと弱み』を徹底的に思い知らされました。

自分はこれからどこへ向かうべきなのか?
世界経済がダイナミックに動いている中で、自分の強みと弱みも踏まえ、『世界の中に於ける自分の役割』が見えてきました。

自分はこれからどのようにして目的地に向かって進んでいくべきなのか?
世界で活躍していくリーダーとしての前向きな姿勢、特に『アメリカ流の積極性』を強く意識するようになりました。

ちなみに『アメリカ流の積極性』ってなんじゃ?!ということですが、これは『極端なほどに徹底された当事者意識、決断力、柔軟性』と私は解釈しています。

MBA lifeも残りあと7ヶ月となってしまいましたが、私は今日も変わらずMission Statementを胸に、同級生たちと切磋琢磨していきたいと思っています。

Halloween当日の自宅前)
よしかん(T’15

2014年10月25日土曜日

発言しないのは恥、的外れな発言をするのはもっと恥、じゃあどうする?

とある日の授業・・・

物腰が柔らかくて皆に愛されているジョンが、Slaughterの授業の議論の中でかなり激しい口調で教授に対して反論。ただその反論の内容があまりにも的確だったので、さすがのSlaughterも少し押されていました。私は『反論のポイントがかなり的を射ていてさすがジョンだな』と思うのと同時に、普段と違って攻撃的な口調のジョンに少し驚きました。授業後、たまたま廊下でジョンとすれ違ったので、私の方から『今日のジョンの授業中の発言は的確で良かったよ。Slaughterも少し押されてたね』と伝えました。するとジョンは、『例えば将来自分がCEOになったとして、記者会見などをこなす中で、かなり強気な姿勢で記者の質問に答えていかないといけないような状況も出てくると思うんだ。だから今日は授業中に強気な態度で反論する練習をしてみようと思ったんだよね。事前にしっかり頭の整理をしておくこと、スピード感を意識して相手の発言に対して俊敏に反応すること、この2点を今日は心掛けたよ』と答えてくれました。

また別の日の授業・・・

Leadershipの授業。今日はキルスティンも、ネルも、エミリーも(全員女性)、いつも以上にノリノリです。

キルスティン:『私は○○社のCEO△△は、こういう時は××をするべきだと思う。何故なら・・・』
ネル:『私はキルスティンの意見に完全に反対です。何故なら・・・』
エミリー:『キルスティンの意見も、ネルの意見も、両方とも興味深いけど、今議論すべきポイントはそこではないと思う。何故なら・・・』
教授:『なるほど、色々と素晴らしい意見が出ましたね。我々がリーダーとしてこのような状況で考えてあげないといけないことは・・・』
キルスティン:『先生ちょっと待って下さい!ネルのコメントに対する私の反論がまだ終わってません!』

(学校から自宅までの帰り道)
 
ビジネススクールの授業中のディスカッションは教授が指揮を取るひとつのエンターテイメントのようで、意識の高いクラスメートたちから多くの刺激を受けます。女性も男性も同じように積極的に議論を引っ張っていくこの雰囲気が私は本当に大好きです。Tuckの場合ほとんどの授業がケースメソッドを採用していて、ケースメソッドの授業では授業中の議論を如何に自分が引っ張っていけるのかが成績の大きな部分を占めます。従って皆が積極的に発言をする必要があるのですが、低レベルなコメントはもちろん歓迎されず、何を言っても良い訳ではありません。『発言しないのは恥、的外れな発言をするのはもっと恥』という雰囲気が教室の中にかなり漂っています。そのようなプレッシャーがある中で、『じゃあどうするのか?』と言うと、その答えは明白で『失敗を恐れずに積極的に発言をする』ということになります。実際のビジネスとは異なり、授業の中では失敗を犯しても誰かが損失を被る訳でも、誰かが職を失う訳でもありません。そこにリスクは何もないですし、失敗することで必ず次に繋がっていきます。私は授業の後には(未だに)『今日の自分の発言は少しポイントがずれていたな・・・』とか、『正しいことを言ったけれども、もう少し上手く伝える方法があっただろうな・・・』のように、毎日反省してばかりです。但し『もっと発言をするべきだったな』と参加しなかったことを反省をすることはなく(=積極性は保てているので)、少しずつ、少しずつ、前進はしているのだと思います。そして今日も自分の意識を高めてくれる最高の仲間たちに囲まれている今の環境に対して、感謝をするのでした。

よしかん(T’15

2014年10月20日月曜日

ランキング

先週The Economist誌による2014年のMBAランキングが発表され、我らがTuckは目出度く2位となりました。

画像クリックすると多少拡大します)

ランキングに関しては過去にも当ブログ内で投稿がありますので、そちらも参照下さい。

MBAランキングはThe Economist誌以外にも、U.S. NewsFinancial TimesForbesなど数多くあります。日本の大学生が就活の際に見る『就職先人気企業ランキング』の類と同じで、MBAもランキングによって切り口が異なります。論文の数の多さを評価するランキングでは、規模の大きいビジネススクールの方が(教授陣も多いので)有利となります。ビジネススクール入学前と卒業後の収入を比較してその増加率(増加額)を評価するランキングでは、欧州系のビジネススクールがランキングの上位に来ます(アメリカのビジネススクールの場合、入学前から収入の多い職に就いている学生が相対的に多いので)。The Economist誌は、以下に基づいて評価しているとのことです。

① Opening new career opportunities (35%)
② Personal development/educational experience (35%)
③ Increasing salary (20%)
④ Potential to network (10%)

General Managementに重きを置いているTuckでは、『経営者たる者、広く深く物事を理解する必要がある』とのコンセプトの下、一年生のコア科目が組まれています。従って、勉強の面で学生は時間的にかなり追い込まれますが(時々『就活する時間がなくなってしまうのでは?!』と思うほど)、結果としてにある通り就職先の幅が広がり、そして何よりも(ただ単に『MBA!』と経歴が華やかになるだけなのではなく)にある通り実際のスキルが相当に強化されます。

もちろん何を求めてMBAを目指すのかは人それぞれですし、どのランキングを参考にする(またはしない)かは最終的に各自の目線に合わせて行うことになります。例えば、The Economist誌のランキングから各校合格者のGMAT平均点を抽出することも出来ます。

合格者のGMAT平均点:
732 Stanford GSB
730 Wharton
726 Chicago Booth
725 HBS
723 New York Stern
718 Tuck
718 Columbia
715 Haas
715 Kellogg
713 MIT Sloan

このように様々なランキング、様々なポイントを見比べてみるのも、ビジネススクール選びの上で参考になるかもしれません。早いラウンドでapplyしている受験生の皆さんはこれからの時期interviewが続くと思います。次のラウンドでapplyを検討している受験生の皆さんはGMATの勉強や、essayの詰めが続いているかと思います。このブログで繰り返し述べているように、合格の先には必ず素晴らしいexperienceが待っていますので、引き続き皆さん夢に向かって頑張って下さい!そして別にTuckに関わらず、MBA受験全般に関することでも何でも構いませんので、質問等御座いましたらいつでも気軽にtuckjapanHP@gmail.comにご連絡下さい。
 
よしかん(T’15