General Management強化を図るTuckでは、1年生では必修授業が中心ですが、2年生では全て選択授業となります。選択授業を幾つか紹介していきたいと思うのですが、今回はLeadership
in the Global Economy(通称LGE)について。
この授業はTuckに入学した時からずっと履修したいと私は思っていました。その理由は単純で、私がLGEの担当教授であるDean Slaughterファンだからです。バーナンキの片腕としてCEAに勤めた経験も持つSlaughterは『バーナンキは正しかったか?』などにも登場しますが、私が彼に魅了されるのは彼の華々しい経歴の数々によるものではなく、①スピーチの名手であること、②リーダー育成にかける熱い想い、③視野の広さ、この3つの理由によるものです。彼の専門はマクロ経済学ですが、彼の授業はマクロ経済学を教えるというよりは、『マクロ経済学を議論の題材として取り上げながら、世界のリーダーはどのようなマインドセットを持つべきかを説き、そしてリーダーはどのように社会に語るべきか』を教えようとしています。ちなみに話をしている時のSlaughterはこのような感じです。堅い話でも、Slaughterが話すと全く聞き飽きないのが不思議です。
LGEでは毎週テーマが設けられていて(『新興国と世界経済』、『移民問題』、『温暖化問題』、『ビジネスへの政府介入』等々)、学生はそのテーマに基づき『自分がリーダーである』という視点でstatementを事前に準備して授業に臨みます。そしてSlaughterに指名された学生は(下の写真)授業内で自分のスピーチを展開します。例えば『自分はクリーンテックベンチャーのCEOである』という立場で、『クリーンテック産業の更なる成長は国の経済活性化に繋がるので、政府は産業への支援を強化するべきである』というようなスピーチを行ったとします。そうするとこれに対して、他の学生が『諮問委員会』のような立場で様々な質問をしてくるので、今度はそれに答えていく、というようなディスカッション形式の授業です。世界のマクロ問題を自分たちの問題と紐付け、その上で自分の立場を明確にして、そしてそれらをどのように発信するのかを考えるトレーニングになります。また毎週の個別テーマとは別に、世界情勢に於けるtimelyな政治・経済問題(今ならスコットランドやウクライナ等)について議論する時間も毎授業内に設けられています。
マエストロとして教室内を縦横無尽に動き回るSlaughterに付いていきながら、世界情勢が如何に『対岸の火事』ではなく自分にとっても重要な問題であるかを理解し、『ではリーダーとしての自分はどう考えるか?どう行動するか?』を問われるこの授業は、現在Tuckの人気ナンバーワン授業となっています。受験生の皆さんにも、Tuckに入学したら是非履修してほしい授業のひとつです。
よしかん(T’15)