2014年9月28日日曜日

授業紹介: Investments

トップビジネススクールの魅力のひとつは、教授陣だと思います。TuckではFama-French 3 factor modelで有名なKen Frenchから直接ファイナンスを学ぶことが出来ます。その名もInvestmentsという名の講義です。

『株式投資はゼロサムゲームではない。手数料を引かれることを考えたら、ネガティブサムゲームだ。だから普通に考えたら負ける。それでも尚、あなたは株式投資をして勝てる自信があるのか?或いはあなたの代わりに投資をして勝ってくれる人を見つけてくることが出来るのか?その人はあなたの代わりに勝って(儲けて)くれたとして、あなたと利益をシェアしてくれるという保証はどこにあるのか?』と、教授はいつも軽快な語り口調で、決して難解な理論を展開していくのではなく、身近なところから話を広げていくのでとても分かり易いです。

あと、口癖のように『もし私が言っていることであなたが分からないことがあったとしたら、おそらくこの教室の中でそれを分からないのはあなただけではないでしょう。なので、おそれずに、すぐに質問してほしい。あなたが分からないことを教えるのが私の仕事なのだから』ということを繰り返して、授業の中では質問の為にかなりの時間が割かれます。更にはパートナーであり、昨年ノーベル賞を受賞したFamaとの共同研究にも授業の中で触れるので、我々は最新のファイナンス理論を学ぶことが出来ます。

最後に、サイクリングというFrench教授と共通の趣味を持つ私の同級生たちは、よく教授(写真右端)と一緒に走ってます。このような学生と教授陣との間の距離の近さもTuckの良さのひとつだと私は思います。

よしかん(T’15

2014年9月23日火曜日

授業紹介: Leadership in the Global Economy

General Management強化を図るTuckでは、1年生では必修授業が中心ですが、2年生では全て選択授業となります。選択授業を幾つか紹介していきたいと思うのですが、今回はLeadership in the Global Economy(通称LGE)について。

この授業はTuckに入学した時からずっと履修したいと私は思っていました。その理由は単純で、私がLGEの担当教授であるDean Slaughterファンだからです。バーナンキの片腕としてCEAに勤めた経験も持つSlaughterは『バーナンキは正しかったか?』などにも登場しますが、私が彼に魅了されるのは彼の華々しい経歴の数々によるものではなく、スピーチの名手であること、リーダー育成にかける熱い想い、視野の広さ、この3つの理由によるものです。彼の専門はマクロ経済学ですが、彼の授業はマクロ経済学を教えるというよりは、『マクロ経済学を議論の題材として取り上げながら、世界のリーダーはどのようなマインドセットを持つべきかを説き、そしてリーダーはどのように社会に語るべきか』を教えようとしています。ちなみに話をしている時のSlaughterこのような感じです。堅い話でも、Slaughterが話すと全く聞き飽きないのが不思議です。

LGEでは毎週テーマが設けられていて(『新興国と世界経済』、『移民問題』、『温暖化問題』、『ビジネスへの政府介入』等々)、学生はそのテーマに基づき『自分がリーダーである』という視点でstatementを事前に準備して授業に臨みます。そしてSlaughterに指名された学生は(下の写真授業内で自分のスピーチを展開します。例えば『自分はクリーンテックベンチャーのCEOである』という立場で、『クリーンテック産業の更なる成長は国の経済活性化に繋がるので、政府は産業への支援を強化するべきである』というようなスピーチを行ったとします。そうするとこれに対して、他の学生が『諮問委員会』のような立場で様々な質問をしてくるので、今度はそれに答えていく、というようなディスカッション形式の授業です。世界のマクロ問題を自分たちの問題と紐付け、その上で自分の立場を明確にして、そしてそれらをどのように発信するのかを考えるトレーニングになります。また毎週の個別テーマとは別に、世界情勢に於けるtimelyな政治・経済問題(今ならスコットランドやウクライナ等)について議論する時間も毎授業内に設けられています。

マエストロとして教室内を縦横無尽に動き回るSlaughterに付いていきながら、世界情勢が如何に『対岸の火事』ではなく自分にとっても重要な問題であるかを理解し、『ではリーダーとしての自分はどう考えるか?どう行動するか?』を問われるこの授業は、現在Tuckの人気ナンバーワン授業となっています。受験生の皆さんにも、Tuckに入学したら是非履修してほしい授業のひとつです。

よしかん(T’15

2014年9月15日月曜日

現役Tuck生によるMBA相談会(face-to-face)で出た質問

8月に一時帰国をしていたので、そのタイミングを捉え、MBA受験生の方々とface-to-faceTuckや受験全般に関する話し合いをすることが出来ました。参加して下さったみなさん、有難う御座います。ここでは、その際に出た質問を幾つか紹介させて戴きます。

質問1 MBAに於ける就活のスケジュール感は?

<卒業後にアメリカで働くことを望む場合>

~インターンまで~
MBA1年生と2年生の間の夏休み期間を利用してインターンを行い、そのインターンからfull-timeの採用に結び付けることを狙う』というのが基本的なパターンとなります。この場合、『夏休みのインターンの内定をもらう』ことがビジネススクール入学後の最初の目標になります。9月に入学した直後、10月頃から積極的に企業説明会に参加し、ネットワーキングをすることになります。投資銀行を狙う場合はネットワーキングはかなり重要になり、週に何度もWall Streetに通ったり、夜な夜な企業との会食に付き合うということも必要になってきます。それ以外の業界ではそこまでではありませんが、(日本人がアメリカに対して抱いている先入観とは異なり)ネットワーキングは比較的に重要な要素となってきます。12月中に書類提出を求める企業が多く、そこからインタビューに呼ばれれば、次のステップに進みます。大半のインタビューは翌年1月から始まり、二次面接、最終面接と進む中で、1-2月中にインターン内定を獲得する学生も少なくありません。なかなかインターンが決まらない学生は5月頃まで就活を続けることになります。

~インターン後~
夏休みのインターン(通常6-8月にかけて10-12週間程度)を終え、そこでfull-timeの内定を貰えれば、晴れて就活終了となり、MBA2年目はかなり楽しいものになるでしょう。Full-timeの内定を貰えなかった、内定を貰えたけど他の企業も見てみたい、そもそもインターンをしていない、という人たちは2年生になっても引き続き就活をすることになります。説明会に参加し、ネットワーキングし、書類を提出して、インタビューを受ける、という基本的な流れは変わりません。

<卒業後に日本で働くことを望む場合>

日本で働くことを望む場合は、ビジネススクールに入学する前から就活が始まります。9月入学に向けて7-8月頃に渡米する人が多いと思いますが、その前の4-6月頃に日本では各社主催による『これから留学する人たち向けイベント』が多数開催されます。そういったイベントに登録し、積極的に参加する必要があります。それによって企業に対する関心を示したことになり、渡米後にも引き続き就活関連情報を受け取ることになります。尚、インターンやfull-time採用に関する説明会、インタビュー等々はニューヨーク、ボストン、シカゴなど、ビジネススクールがある大都市で開催されることが多いです。

質問2 ビジネススクールでは『同級生から受ける刺激が大きく、そこから学べることが多い』とのことであるが、以前の職場には『周囲から受ける刺激』は存在しなかったのか?

もちろん職場にも刺激は沢山あり、学べることは沢山ありました。但しビジネススクールとはsettingが異なる場合が多かったです。例えば職場の部署は『課長+中堅+若手』という構成なので、同じチーム内に自分と同年代の人間が居る可能性は少なく、また仮に居たとしても1-2人程度です。逆に『自分の同期』と呼べる人たちは、社内のあちこちの部署に散らばっています。ビジネススクールの同級生は、以下の3点を同時に満たしてくれるところに意味があります。

 同年代である
 数百人規模で同じことに取り組んでいる
 国籍、職種などバックグラウンドが異なる

同級生は、『世界中に居る自分と同年代の人間はどの程度の力を持っているのか?彼等との比較に於いて自分はどれくらいのところに位置しているのか?』ということを考える上での比較対象です。職場に居る人間からも沢山刺激を受けることは出来ますが、ビジネススクールの同級生から得られるそれとは全く種類の異なるものになります。

質問3 Tuckではエッセー提出前にインタビューを受けることが出来るのか?

はい。現在のTuckのルールでは、実際にHanoverまで足を運べば、エッセー提出前にインタビューを受けることが出来ます。エッセー提出とインタビューの順序がどこまで意味を持つことになるのか私には想像がつきませんが、仮に『Hanoverまで足を運んで(インタビューも受けて)、そこで感じたことをエッセーに反映させたい』と考えている居る場合、そのような対応は可能です。

質問4 Fitが重要と言うが、Tuckの場合fitとは何か?

これに関しては、面接官が個人的にどのように感じるかによる部分が大きいので、一般的な回答は存在しません。但しTuckの場合、チームワークを重視して(競争し合っていくというより)助け合っていくマインドを持っている、学校内外のイベントに積極的に参加することに加え、自らも積極的に種々イベントを企画したいと思っている、経営者になる為のスキルセット、特にハードスキルをしっかりと身に付けたいと思っている、というようなことが重要なのではないかと個人的には感じています。
 

よしかん(T’15

2014年9月2日火曜日

Seattle集合(Tuck生にとってのクラスメートとは)

大多数が夏のインターン(通常10-12週間)を終えた8/15-17の週末に、Tuckの同級生15人程でSeattle集合してきました。SeattleではAmazonMicrosoftでインターンをしている同級生が何人か居ます(インターン参照)。私はDetroitのインターンを終えてNew Hampshireに戻っていたので、そこからSeattleまで飛んでいきました。その他、BostonDenverNew York等、各地からインターンを終えた同級生たちが集まってきました。

今回の集合は、Seattle出身の同級生であるモーリンが『私の地元を紹介したいの!みんなインターン終わったらSeattleで遊ぼうよ!』と呼びかけたことから話が持ち上がったものでした。Tuckの一年目では毎日一緒に授業を受け、毎日一緒に寮での生活を楽しみ、同級生は週7/一日24時間を共に過ごす家族同然の存在なのですが、その仲間たちとインターン期間中は10週間離れ離れになってしまいます。なので、私自身もSeattleでの集合は本当に本当に楽しみにしていました。


金曜日(8/15)はモーリンがSeattle市内を案内してくれて、夜は皆でBBQを楽しみました。土曜(8/16)はSeattleの北にあるRoche Islandという場所に移動して、その近くに別荘を持つチャールズ(同じく同級生)の船に皆で乗り込み、近くの小さな島などに寄りながら生牡蠣や蟹を楽しみました。そして夜は皆でキャビンに泊まり、語り合いながら延々と酒を飲み続けました。最終日(8/17)はRoche Island内を散策して、Seattleに戻って、モーリンの実家で彼女の家族との食事を楽しみました。そんな楽しい時間はアッという間に過ぎていってしまい、今は同級生がそれぞれの夏休みの残りを満喫しています。9月になって、また皆とキャンパスで再会出来るのが待ち遠しいです。尚、Seattle旅行の様子は学校のブログにも掲載されました。


この一年間で、私の気持ちは完全に変わりました。一年前は、『MBA2年間って少し長いような気もする』と思っていました。しかし今はあまりにも同級生と仲良くなってしまったので、『こんなにも大好きな同級生たちと共に過ごせる時間があとたったの一年しかないなんてとても悲しい』と心底感じています。同級生はもちろん最高の仲間たちなのですが、単なる『仲良しグループ』なのではなく、『それぞれが非常に高い目標を持ち、周りに刺激を与え続ける最高のライバルたち』でもあります。私が声を大にして言いたいのは、『MBAはよくlife changing experienceと言われますが、それは間違いない!』ということです。今ほど刺激的で且つ楽しい毎日を過ごしたことはこれまでありませんし、それらを可能にしているのは全て同級生(クラスメート)たちのおかげです。この最高に恵まれた環境に私が身を置けるのもあと一年。後悔しないように、全力疾走で残りも駆け抜けたいと思います。
 
よしかん(T’15