2014年3月11日火曜日

MBA Ranking: Does it really matter?

定期的に複数のメディアがMBAランキングを発表します。一定のサンプルから集められたデータをもとに異なる計算方法で集計しているため、発表元によって結構違いがあります。それにも関わらず、ランキングはMBA選びにおいて影響が大きく、その割には具体的な計算方法について詳細に解剖する人は少ないように思え、今でも時々このランキングの存在を不思議に思うことがあります。

今回は、前半ではTuck生や日本人に限らず、これまで様々な人とMBA受験や入学後の学び、就活などについて話し合った事を通じて、入学後1年半の生活を振り返ってみてMBA選びにおいて何が大事かについて私が思った事を書き、後半はランキングについてデータを纏めてみたのでそれを紹介します。


何が大事か?

Tuckに入学して1年半が経ちましたが、学校、就職活動、サマーインターンなどのいずれの場合においても、学生や社会人との間で各校のランキングが何番かについて話に出ることは殆どありません。それにも関わらず、MBAランキングは受験期に特に注目を浴びるデータとなっている気がします。

受験期にエッセーカウンセラー等と話すと、しばしばランキングよりもフィットの方が大事だという話を聞くかと思います。一方で、やはりブランド力やアラムナイネットワークも気になる人は多いと思います。

私の意見としては、在学中の授業や課外活動、プライベートを含めた総合的な学びを高めるために最も考慮すべきなのは、授業プログラム・カルチャー・在校生のライフスタイルの3つのポイントだと思います。

授業プログラムに関しては、自分の卒業後のキャリアに役立つ内容の授業が多いかどうか、履修できる授業数や人気授業の履修の競争率が高いかどうか、自分が目指すリーダーシップ像と学校の教育方針が合致しているかどうか、などがポイントになると思います。カルチャーに関しては、自分がどういうタイプの人間関係を生徒や教授と築きたいか(競争的、協調的、個人主義的など)、どの程度インターナショナル生として学校のコミュニティに馴染みやすいか、などを考えるとよいと思います。3点目の在校生のライフスタイルは受験期に思っていたよりもかなり大事なポイントで、学校によって授業外での交流がクラス全体で活発な場合もあれば、個々人が自分のやりたいプロジェクトや就活・インターンに多くの時間を費やしている場合もあります。例えば、自分の起業プロジェクトに集中したい人と、世界から集まるクラスメートと課外活動や遊び、スポーツ、飲みなどを通じて異文化、異業界などについて学んだり、個々に太い絆を築きたいという人とで、適しているスクールは全く異なってきます。授業プログラムは授業内での学び、カルチャーは授業内外での学び、在校生のライフスタイルは授業外での学びにそれぞれ大きく影響を与えます。もちろんどれが良い悪いの話ではなく、どちらの方がより自分にとってプラスになるか、という視点で考えることが大事だと思います。

では就活に関してはどうでしょうか?これもあくまで私見ですが、就活に関して最も影響があるのはアラムナイネットワークで、ブランド力に関しては人によって影響度合いが異なると思います。もちろん業界によってもブランド力の影響は変わります。私の経験上、トップ10出身者のみをターゲットにしている場合は少なくないですし、ごくごくわずかな業界におけるアメリカの超トップクラス企業では、HBSStanfordのみを見ていると聞いたこともあります。しかし、いずれのケースも大学名で競争の土台に乗れても、結局はソフトスキルと社会人としてどういうキャリア・実績があるかが採用判断において最も重視されるため、大学名は採用プロセスを効率化するためのセンター試験的な役割を果たしますが、自分を実態以上に大きく見せることはできません。大学名だけで箔がつくのはあまり相手が自分の事を理解していないか、しようとしていない場合です。

とは言うものの、一般的にバックグラウンドがメジャーな企業・業界・職種でない、あるいはバックグラウンドが目指している次のキャリアとの関係性が薄ければ薄いほど、大学のブランド力は多少プラスになると感じます。なぜならそういう人を採用する場合はすぐに役立つスキルを持っているからではなく、働き始めてからの成長ポテンシャルの方に重きを置くからです。

アラムナイネットワークがなぜ最も重要かと言うと、情報戦である就活において、就職を希望する業界・会社に勤めている人から業界情報や就活準備に関するアドバイスをどれだけもらえるか、応募する際に社内に推薦してもらえるかなどが勝負を分けるからです。アラムナイネットワークの量は大事ですが、多くのトップスクールは歴史が長く卒業生も多く輩出しているので、大抵どの業界にも卒業生はいます。特にMBA生の採用プロセスが確立している企業や、複数校のMBA卒業生が社内にいる企業に関しては、アラムナイネットワークの量はPoint of ParityになりますがPoint of Differenceにはなりません。一方、ピンポイントで特定企業、あるいは極めてニッチな業界などを狙っている場合は、量が多い方が卒業生を見つけやすいでしょう。

現在アメリカのテック業界の就活をしていて感じるのは、量も大事な一方で、質の方がよっぽど大事だということです。ここでいう質とは、どの程度アラムナイが協力的かという意味です。アラムナイからしたら自分は何千人、何万人といる同じ学校出身者の一人に過ぎないので、必ずしも同じ大学というだけで無条件になんでも助けてくれるわけではありません(と言いながらそういう人も意外に多いのですが)。多くの場合は、直接的な人間関係を築く機会があったり、最初のメールや電話でうまくアピールできると、より協力的になってくれます。協力してくれる度合いも人によって異なり、単にアドバイスをしてくれたり人を紹介してくれる場合もあれば、積極的にレジュメの添削や企業の上層部へ推薦文付きでメールを送ってくれる場合もあります。アラムナイのサポート度合いは、代々そういう協力的なカルチャー・伝統があるかどうかも影響があるように思います。「自分が在校生の時に面識もない卒業生の人たちに助けてもらったので、助けを求められたら必ず助けるんだ」と、僕が今大変お世話になっているアメリカ人の卒業生の人に言われたことがあります。この”pay it forward”の精神はTuckにすごく根付いているように感じます。

2000年にPay it Forwardという映画がありました

たかがランキング、されどランキング

とは言いながらランキングが受験生に影響を与えていることは事実であるので、アメリカのトップ校の主要ランキングと進学者のテストスコアの平均値をまとめてみました。結果を見ると、テストスコアとランキングがある程度比例している事が確認でき、興味深かったです。




ちなみにTuckClass of 2014以降の日本人のテストスコアに関しては、GMATのレンジは700 – 740点、平均は711点で、TOEFLのレンジは100- 112点、平均は108点となっています。

色々言ったものの、やはりランキングで自分の学校がいい評価を受けると嬉しいのも事実で、ちょうど本日Economistが在校生に対してアラムナイネットワークの強さを調査したランキングでTuckが見事1位に輝いたので、ついでに宣伝させてもらいます。詳細はこちら



Y.I (T'14)