この度、日本人向けサイトのリニューアルを行いました!!
以下のリンク先にございますので、そちらもご欄になっていただけますと幸いです。
Tuck School of Business at Dartmouth – 日本人在校生によるTUCK MBAの紹介サイト(非公式)
リニューアル後のTuck日本人向け新サイトはこちらになります。https://sites.dartmouth.edu/tuckjapan/
この度、日本人向けサイトのリニューアルを行いました!!
以下のリンク先にございますので、そちらもご欄になっていただけますと幸いです。
Tuck School of Business at Dartmouth – 日本人在校生によるTUCK MBAの紹介サイト(非公式)
観光ブログの合間ですが、マジメな記事を1つはさみたいと思います。タイトルのとおり、ケース(ハーバード等のケーススタディーを予習して、教授が生徒の発言を引き出しながら、見事に議論をリードしていく授業)と非ケースのどちらが良いかという話題です。おそらく、ケースのほうがthe MBAっていう感じで受験生をひきつける魅力はあるのかなとは思います。
Tuckに関してはコア科目ではケースは半々の印象。半々といっても授業毎に程度のバラつきがあり、たとえばストラテジーのクラスはほぼケースですし、Capital
Marketsという授業はほぼレクチャーです。選択科目でも同じことがいえ、ケースばかりの授業もあれば、ケースを意識的に全く採用していない授業(Advanced
corporate governance and finance, The
Arrhythmia of Finance等)もあります。
そして結論は、人によると思います。が、私の個人的な意見をご参考までに述べたいと思います。
●使える記憶として残るか残らないか
たとえ素晴らしいことを学んだとしても、使えなければ意味がありません。この点では、ケースが一枚上でしょう。2年間で合計・・・いくつのケースを学んだか定かではありませんが(100~200くらいかな?)、ケースは1つ1つ物語として記憶されているので、タイトルを聞けば、そのケースのキーテイクアウェイ(+時々苦しい思い出のオマケ付き)は記憶としてよみがえってきます。なので、今後のキャリアにおいて何か困難に直面したとき、少し思案すれば、「あ、あのケースなんか関連があったな。ちょっと振り返ってみようか」と思えるような気がします(実際に、自分がそんな行動をするのかは卒業していないのでわかりませんが)。
非ケースの場合は、衝撃があった学びや、繰り返し学んだ概念は記憶に残りますが、「なるほどねー」程度の1回だけ学んだことは、記憶から抜け落ちるリスクがあると思われます。最近、過去の教材整理をしながら、「あぁ確かにこんなこと習ったっけね」と思い出した時に、記憶のかなたに飛んで行ったものがあることを認識しました。
●ケースは情報が不完全なのが良い
ケースで与えられる情報は不完全です。ミクロ経済やマクロ経済、ファイナンスの授業のケースでも、答えを出すのに理論上必要なデータが全て与えられることは稀です。なので、仕方がないので、それに近しい数字を何とか拾ったり、エイヤで数字を仮置きしたりします。几帳面(?)な性格の私としては、かなり気持ち悪さを感じるのですが、当然リアルビジネスは情報が不完全なわけです。
で、そのような不完全な情報の中で、自分の仮置きがいかに正しいかとか、Sensitivity analysisとかを披露したりして、人を説得すると、そういうことを学べます。必要な情報が全て与えられてしまったら、答えがあっているか、間違っているかになっちゃいますよね。
●ケースのデメリットはコジツケ感
多くの人が認めるケースの最大の欠点だと思います。つまり、ケースは1つのストーリーでしかないし、単純化されすぎているということです。そのまま適用できることがマレなことは勿論、そのストーリーからの学び自体が本当に正しいのか(例:勝手に後付け解釈をしているだけではないか)も注意が必要です。
ケースは帰納法的ともいえるかもしれません。Aという1つの企業に焦点を当てて、様々なAの特徴を導き出して(BtoCだ、Conservativeな業界だ、競合は多い、レバレッジが高いなど)、その特徴を結び付けて、応用可能な法則を見出そうとするものです。でもそのやり方はやはり後付け解釈的な限界があります(雑な例ですが、BtoCの企業はレバレッジを高くすれば成功する的な)。それなら、非ケースの演繹法的なアプローチの方が、効率的に信頼できる法則を学ぶことができるんじゃないかと。この点は、前述のThe Arrhythmia of Finance(人間の認識や判断の落とし穴を学ぶ授業)やMSQM(いわゆるSTEM)の授業を取り始めてから、より強く感じるようになりました。
ケースか非ケースかと関係ないこともあります。たとえば「ディスカッションを通じて、様々なバックグラウンドのクラスメートの経験を学べるのがケースのメリット」という風な言い方を耳にすることがあります。しかし、それはレクチャー形式の授業でもTuckでは(たぶん他校でもそうです)起こることです。
たとえば選択科目のTax and business strategiesは7割レクチャー・3割ケースの授業ですが、レクチャーで税金スキームの解説を教授が進める中で、生徒が挙手して「そのスキームなら、前の金融機関にいた時に結構活用したよ。相手が税金理解してなかったから、こっちで黙って結構儲けさせてもらっちゃったわ(笑)」みたいな話があったり、Tech企業への課税というテーマの中で、会計監査人として関与したエピソードが披露されたり。他の学生からの学びは、この授業が一番大きかったように私は感じました。
なので、これはケースかレクチャーかの違いではなく、教授がinteractiveな議論が好きか、コールドコールも含めて幅広い意見を取り入れようとしているか、生徒が積極的に発言したがるか、の問題ではないかと思います。
結論として、私はケースで学ぶべきものはケースで学ぶのがいいし、非ケースで学ぶのが効率的なものも多くあると思います。Tuckの使い分けはその点、非常に合理的といえると思います。
以上です。以下は余談です。
・ケースを学ぶと、アメリカの会社を知れるのが面白い。うちの食洗器Whirlpool製じゃん!とか。コーヒーメーカーはBlack & Deckerじゃんとか、Southwest航空ってこんな感じなんだ・・・とか。
・ケースの登場人物の名前が苦手ですね。5人くらい出てくると、もう誰が誰かわからない。しかも一人の人物が違う呼び方で出てくることも多々あるので(チョッパー、トニー、トナカイ、ドクターみたいな感じで)、もうわけがわからない。人物相関図を最初に書いてほしい。
・その代わり、ケースの最初の「ビルはお気に入りのマフラーを首に、いつも通りの散歩コースを、雪を一歩一歩踏みしめながら歩いた。そして・・・」みたいな部分はいらない。
・20ページのケースか・・・と絶望した時に、Exhibitが12ページくらいあるとめっちゃテンションが上がる。
Sachemの裏山を流れる川 |
春のBoston Lot |
冬のboston Lot |
頂上にあるタワー。結構怖い |
見渡す限りの緑(再)! |
かなり初期の紅葉 |
Billings Farm |
Mount Tomの山頂から見るのどかな風景 |
ジブリの世界みたい |
見渡す限りの緑(三度)! |
今回は、完全に観光情報、特にアウトドア情報です。
White MountainはNH州が誇るアウトドア天国です。地図に見えるLincoln, Conway, Mt. Washington, そしてLittletonまで広範にわたって遊びどころが満載です。
White Mountainの玄関口であるLincolnでは、冬のIce Castleが有名です。Lincoln付近には100ドルもしないモーテルがたくさんあります。レストランはWoodstock
Inn Breweryがおすすめです。10分程北に向かうとThe Basin(無料)、Flume Gorge(州立公園)といった水がキレイ系の観光スポット、西に10分のところにはLost River Gorge(州立公園)という洞窟群があって家族連れでにぎわっています。行ったことがありませんが、Loon
Mountain Resortというでっかいスキーリゾートも目に入ります。
Flume Gorge |
Ice Castle |
LincolnからConwayに向かう東西の道路が、THE KANCAMAGUS HIGHWAYで、特に紅葉ドライブの名所として知られています。Highway入ってすぐのLincoln Woodsで5ドルの駐車券を買えば(Honor systemですが)、Highwayの中に10以上あるフォトスポットを楽しめます。フォトスポットの中には、短いハイキングロードもありまして、片道10分程度のSabbaday Fallsという滝を見に行ったり、Champney Fallsは片道30分くらいだったり、Rocky Gorgeの川もキレイで、アメリカ人は皆、川の中で泳いでます。ほぼすべてのスポットにトイレが併設されているのも、トイレが近い派としては有難い限りです(冬季はLincoln Woodsのトイレだけ空いています)。私は、夏、秋、冬と3回このHighwayを通りましたが、どの季節も違った表情を楽しめます。また、私は使っていませんが、Highway沿いにはキャンプグラウンドも多数あります。
ConwayにはConwayScenic Railroadという観光列車があり、1時間の簡易なものから、5時間かけてWhite Mountainを周遊する壮大なものまであります。私は未経験ですが、春になったらこの5時間のに乗ってみたいなと思っています。North ConwayにはAttitash Mountain Resortというリゾートエリアがあり、宿泊にはここがおススメです。夏はハイキングやプール、冬は巨大なスキーリゾートなのですが、宿泊施設のコスパが抜群です。やたら広いジャグジー付きの部屋が100ドル前後で宿泊できることが多いので、White Mountainに行くときは、私はいつもこのホテルの値段から調べています。このエリアではRed Foxというレストランが大変おススメで、お店のグラスまで4つも買っちゃいました。
Conwayから北に30分程度ドライブすると、米国北東部最高峰のMount Washingtonです。登るには、①Auto
Roadを運転、②Cog Railwayという登山鉄道、③ハイキング(片道約4時間)という3つの方法があります。私は①と②で登ったことがあり、山頂付近でハイキングしてきたTuckの同級生に偶然会ったりもしましたので、来春は私も頑張って登ろうと思っています。オートロードや登山鉄道からの景色は、言うまでもなくとてもキレイです。
Mt. Washingtonのふもとには、ブレトンウッズ協定の交渉が行われたOmni ResortMount Washingtonがあります。安くても1泊250ドル程度、週末はもう少し高かったりします。が、ホテルの作りは拡張高く、ブレトンウッズ協定の史跡も見れたりします。そして、レストランではMt.
Washingtonを眺めながらディナーを楽しめます。ホテルがゴルフ場やスキーリゾートも所有していますので、どの季節に宿泊しても、ゴージャスなリゾートを堪能できます。是非、一度はお試しください。また、このMount
Washingtonのあたりは歴代大統領の名前を関した高山が多く、名ハイキングロードが集積していますので、体力に自信のある方は1日がかりのハイキングを楽しめます。自信のない方も、例えばMount Willardは片道1時間弱の登山ですが、絶景を楽しめます。さらに、秋はここら辺をドライブするだけで紅葉がめちゃめちゃキレイですし、冬はMuddy Paw Sled Dog Kennelという犬ぞりスポットもあり、私は近々行ってくる予定です。Omni Resortのレストランから見るMt. Washington
Mt. Willard山頂からの景色
Mt. Washingtonエリアから西に20分ほど行くとFranconia, Littleton, Sugar
Hillというあたりに来ます。このエリアの夏の一番の見所はEcho lakeという本当にキレイな湖です。夏季は湖で泳ぐこともできますし、Artist's
Bluff Loopというハイキングロードからは湖全景を見下ろせます。Echo lakeに隣接するCannonはこれまた広大なスキーリゾートです。Sugar hillは6月のルピナス祭りが有名ですが、私は訪問が遅かったため萎れてましたので、来春リベンジ必須です。
冬のEcho lakeと右に見えるのがCannonスキーリゾートの一部 |
Artist's Bluff Loopから見る夏のEcho lake |
以上でようやくWhite Mountainを一周できました。私が初めてWhite Mountain Areaを訪れたのは入学から半年後の2月のIce Castleでした。そして去年の10月に紅葉を見た際に、何故1年生の秋に訪れなかったのかと、ひどく後悔しました。皆様が入学されましたら、Fall A&Bは恐ろしく忙しいとは思いますが、10月のFall Breakは紅葉のピークですので、是非ともWhite Mountainでリフレッシュされることをお勧めします。
さて・・・ということで、あまりにWhite Mountainだけであまりに長くなってしまったので、一旦やめます。地図で赤丸で囲ったエリアについては、随時書いていきたいとは思っていますので、気長にお待ちください。
いよいよ2nd Roundの面接シーズンになりましたね。出願頂いた方は、大変な時期と思いますが、もう一踏ん張り。お体にはお気をつけて、是非頑張ってください!
さて、10月頃から続いた長い就活もようやく一段落したので、Tuckにおける就活サポートについて、ご紹介したいと思います。
まず、Tuck生の進路ですが、コンサルが3~4割、金融系が3割、テックが2割、残りはその他色々といった、ビジネススクールにおいては割と典型的なものとなっております。私自身も、コンサルティング業界でのインターンの機会の獲得を目指して頑張ってきました。
(1)キャリアセンター
ビジネススクールの就活においては、各スクールでキャリアセンターが様々な面で支援をしてくれます。Tuckにおいても、各種情報提供、レジュメの作成サポート、面接の練習、イベント/セミナーの開催等々、沢山のサポートを得られます。また、キャリアセンターの職員も、元マッキンゼーといった人達ばかりですので、かなり実践的なアドバイスがもらえます。私の場合は、10月~12月にかけて、5回ほど1対1での模擬ケース面接を実施してもらいました。1人1人に手厚いサポートを提供できることは、スモールスクールたるTuckの強みです。
(2)キャリア系のクラブ
コンサルティングクラブ、ファイナンスクラブ、テッククラブ、ゼネラルマネジメントクラブ等、希望する進路を同じくする生徒達で形成されたクラブが多数あります。
既にその業界のトップ企業からオファーをもらっている2年生を中心に、企業とのネットワーキングイベントの開催、学生同士の交流イベントの開催、面接対策等々を行っています。
私が所属していたコンサルティングクラブにおいては、1年生4人に対して2年生1人のメンターがつき、ケース面接について丁寧なレクチャーを行ってもらえた他、その後はメンターであるかどうかは関係なく、2年生との1対1での模擬ケース面接を実施してもらえます。私は5~10回程、練習に付き合ってもらいましたが、多い人はその倍以上2年生と練習していると思います。
また、1年生同士での練習の機会も、クラブ内でのマッチングにより実施され、合計50回くらいケース面接をやっている人もいました。(キャリアセンターや2年生との練習も合わせて、平均すると大体皆さん30回くらいはやってるのではないでしょうか・・・)
その他のキャリア系クラブも大体似たような活動をしています。
(3)アルムナイネットワーク
特にアメリカで就活をする場合、ネットワーキングに相当な時間を費やすことになります。多い日は一日15回もコーヒーチャットをしているような猛者もいました。カバーレターに、「御社の○○さんと話して・・・」みたいなことを書いて志望度の高さを示したりするようです。この場合、自分が進みたい企業にアルムナイがいるととってもスムーズにいくのですが、Tuckの場合、トップスクールの一つでもあり、みんなが目指す有名企業には大抵アルムナイがいる他、みんなTuckが好きなので、Linkedin等でいきなり連絡をしても、レスポンスがいい人が多いと聞きました。(私自身は東京オフィス向けで就活をしているので、クラスメイトから聞いた話となりますが・・・)
これはTuckに限らずですが、MBA取得者はPay it forwardの精神を大切にしている人が多いように感じられ、頼れるアルムナイネットワークがあることは、大変心強いことかと思います。
(4)冬学期のスケジュール
Tuckは秋学期を2つに分け、相当詰め込みで勉強する代わりに、冬はコア科目が2科目しかなく、選択科目を取らずに就活に全力を注ぐことも可能なスケジュールになっています。また、多くの選択科目も含めて、月曜と火曜に時間割が寄せられているため、水曜から毎週五連休とすることもでき、NYや西海岸にも飛び回れるようになっています。(尤も、今は大抵Zoom面接ですが。)
これは就活の支援を重視しているとともに、就活を理由にアカデミック面を妥協することを良しとしないというスクールの方針の顕れだと個人的には思っています。中途半端に両方やるぐらいなら、秋は勉強、冬は就活、春からまた勉強とメリハリの利いたスケジュールで留学生活を送れというメッセージなのだろうと・・・
そんなこんなで、本当に大変な就職活動ですが、学校一丸となって乗りきっていこうという雰囲気があるので、楽しんでやれたと思っています。入学早々から活動が始まり、ウンザリしますが、これもMBA生活の醍醐味かもしれません。
MBA受験の2nd Roundが大詰めですね。受験生の皆さんお疲れ様です。また、この時期というのは「来年MBA受験してみようかな」と思っている人が試験に向けて動き出したりするタイミングでもあるのではないでしょうか。このブログではTuckスペシフィックなことではなく、MBA全般に関わり、かつ受験生が気にしているであろう「MBAのコストパフォーマンス(以下コスパ)」について書いてみようと思います。
「MBAはコスパが悪い」というのはMBAに批判的な意見の中で多いものの1つだと思います。しかし、コスパという概念は意外に扱うのが難しい概念だと思います。今回は「MBAはコスパが良い」と説得するつもりはありません。「①コスパという概念でMBAの良さを測る難しさ」と「②MBAにいく決断を人の多くがたどったであろう思考プロセス」を考えてみようと思います。
「①コスパという概念でMBAの良さを測る難しさ」(結論:MBAの良さをコスパという概念では測れない)
まず、「MBAはコスパが悪い」という文章ですが、文章そのものに2つの曖昧な点があります。1つ目はコスパの定義が曖昧なこと。2つ目はMBAと何を比較してコスパが悪いと言っているのかが曖昧なことです。先に結論から言うと、これらの曖昧な2点を解消するのが難しいため、「MBAはコスパが悪い」という主張そのものが曖昧=MBAはコスパが良いとも悪いとも言えないと考えています。
まずは1つ目のコスパの定義です。「コスパ=パフォーマンス÷コスト」という定義が一般的かなと思います。MBAのパフォーマンスとはなんでしょうか。人脈・海外経験・年収アップ・2年間の休み・・等様々ですが、間違いなく言えるのは定量化できないということです。コストはどうでしょうか、間違いなく定量化はしやすいのですがこちらも難しさがあります。学費のような明らかなお金に関するものもありますが、MBA受験のためのTOEFLやGMATの試験勉強に必要な時間等、定量化はできるがお金ではない概念が混じっており、コストとして使える明確な指標作りは結構難しいのです。つまり、MBAのコスパというのはそもそも計算できないよくわからないものということなんですね。
2つ目、MBAと何を比較してコスパが悪いと言っているのかという点です。これも結構悩ましいですね。これは結論人によるんですよね。今の仕事を継続した場合と比較している人、デザインスクールと比較している人、海外オフィスへの出向と比較している人、転職と比較している人等様々ですね。そもそもキャリアという論点自体が個別性が高いため、一般論としてあるオプションが良いとか悪いとか断言することが難しいんですよね。
結論、「MBAはコスパが悪い」という主張は文章自体が曖昧で意思決定に役立ちません。では実際にMBAに行く人達というのはコスパという概念抜きでいかにして意思決定したのでしょうか。私の独断ですがおそらく以下の思考で意思決定した人たちが多いと思います(意識はしてなくとも、似たような思考を無意識にしていた人が多いと思います)。
「②MBAにいく決断を人の多くがたどったであろう思考プロセス」(結論:樹形図的な思考で決断してる人が多いのでは)
MBAに行く人達の多くは樹形図的な思考で意思決定したのではないでしょうか。つまり、以下3つの質問に順番に応えて全てがYESの人が留学を意思決定している人というイメージです。「1.MBAで得られるベネフィットに興味があるか」→「2.時間とお金を投資する覚悟はあるか」→「3.コストは調達できそうか」。図解すると以下のようなイメージですね。
割と荒っぽいですが、このような意思決定をしているMBA生は多いはずです。コスパなるものを計算し、他のオプションと網羅的に比較している人はほとんどいないのではないでしょうか。むしろ、上記の図の最初の問いである「MBAで得られるベネフィット」に対して強い思いがある人がそのままチャレンジして合格しているのではないでしょうか。だからこそ、「MBAはコスパが悪い」と言われると、そもそもそのような意思決定プロセスを経ていないMBA生としては議論がかみ合わない不思議な印象を持つわけですね。
コスパという概念を扱うのは一般的に相当難易度が高いです。それを何かの意思決定に用いる場合は相当な覚悟をもって数字と向き合う必要がありますし、そもそもコスパの計算が無理なケースが多いです。
もし受験生もしくは受験しようかどうか迷っている人の中で、「MBAはコスパが悪い」という主張によって悩んでいたり一歩を踏み出せない人がいたら、MBA出願においてコスパという概念は忘れてしまって大丈夫です。それよりも、MBAによって得られるものが自分にとって何であるのか真剣に考えてみましょう。情熱を持ってYESと言えるなら、そのまま進んでください。
長くなりましたが、MBAに行こうかどうか迷っている人の参考になったら嬉しいです。
(よければTwitterのフォローお願いします:@tuck_at)
2年生のIchiroです。
先日はWebinarにご出席いただきありがとうございました。Fall Termには6つの選択科目を取りましたので、Webinarの補足的な意味も込めて簡単に紹介します。
The Arrhythmia of Finance
ファイナンスはどうして間違いを起こすのか、ファイナンスの常識は妥当なのか、「定性的に」考えてみようという授業です。「定性的に」というところがポイントで、数字はあまり出てこず、論理学や心理学に近い授業となっています。説明が難しすぎるので、いくつかのトピックを箇条書きします。
・「リスク」という言葉が曖昧過ぎて意思決定に悪影響を与えている件について、徹底的に分析
・あなたの自家用車や、博物館建設のために受け取った補助金は、本当に「資産」なのか。
・トレーダーの体内ではどんなホルモンや信号が行き交って意思決定にどう影響しているか
・後知恵バイアスや選択的注意などの、人を自信過剰にする落とし穴
この授業はoutside-the-box的な視点が多数身に着く素晴らしい授業なのですが、唯一の難点は、反吐が出るほどのリーディングの量です。ごめんなさい。日本語訳版を適宜使いました(ケインズ原典とか無理でしょ・・・)
Leadership in the Global Economy
DeanのMattの授業です。貿易戦争、気候変動、黒人奴隷制度への補償問題、格差の拡大というテーマに対して、5人の生徒がそれぞれ自分が選んだリーダーの視点から、5分間の議会証言をした後に、Dean, ゲスト(毎回、そのトピックの大物論客が登場しました)、他の学生(=国会議員という設定です)からの質問攻めに合うという授業です。
たとえば気候変動がテーマの際には、石炭業界の重鎮、太陽光パネルメーカーのCEO、インドの偉い人等の立場から、議会証言をしました。石炭業界の重鎮は、「石炭は特に途上国では絶対に必要なエネルギー源。雇用も生み出している。規制強化反対」と証言するわけです。太陽光パネルメーカーは「気候変動に真剣に取り組め。エネルギー構造の転換が必要だ」と。インドの方は「途上国は気候変動に取り組めない。アメリカが頑張れ」とやります。
これに対して、国会議員から「化石燃料産業をいじめると、私の地元の雇用が壊滅するんですけど」とか答えにくい質問がされて、リーダー達は時にはキッパリと、時には意識的にムニャムニャと回答する練習を積むわけです。
このギミックにより、知識の習得に加えて、このムニャムニャ答弁する能力や、個人としての思想と組織代表としての意見のせめぎ合いの中で発言する能力を養うことができるわけです。
Countries & Companies in International Economies
コアのGlobal Economics for Managersの発展版で、皆大好きAndrew Bernardが教鞭を取ります。主にケースを使って、為替リスクに対して、企業が取るべき戦略を緻密に分析します。またティファニーの日本法人の垂直統合の理論的メリットの分析や、米国に輸入される家電製品への関税がもたらしたことなど・・・。経済学の理論を、現実のケースに対して明確に結びつけることにおいて、Andrewの右に出る者はいないんじゃないかと思います。Tuckに入学されましたら、必ず履修して味わってください(笑)。
Managing Stakeholder Issues in Private Equity
カーライル重役であったDavid Marchickの授業です。タイトルのとおり、PEファームが、Limited Partners、被買収企業の役員や従業員、政府、コミュニティといったステークホルダーにどう対応していくのかにフォーカスした授業で、数字は扱いません。被買収企業が清算された時、(法的根拠のない)一時金を従業員に払うべきかとか、リターンが高い民間刑務所への投資等、controversialな案件について、議論を深堀りします。また、David自身が中心で携わってマスコミに大々的に称賛された数年後に、手のひらを返したように扱き下ろされたケースなども扱います。Zoom環境下で授業は通常録画されておりますが、彼は頻繁に録画を止めて色々教えてくれます(笑)。
Venture Capital and Private Equity Basics
生徒からの過去のEvaluationはイマイチだったのですが、個人的には学びの多い授業でした。Basicsという通り、VCPEの基礎を学べる授業です。私はファイナンスバックグラウンドでありながら、VCPEに携わったことがなかったので、様々な株式の特性、契約書、バリュエーション、キャッシュウォーターフォール、SaaSモデルの分析などなど、非常に効率よく学べたなと思います。レクチャーとケースが交互に行われるので、ステップバイステップで知識が定着していくのをよく感じられました。VCPEの経験がある方には物足りない授業かもしれません。
The CEO Experience
元NH州知事のJohn Lynchの授業。全てケースで、リーダーはどうあるべきかに焦点を絞ってディスカッションをします。リーダーは一般企業、NPO、行政と様々、そして1960年代から現在に至るまでの本当に幅広いケースを取り扱います。授業からのTakeawayはたくさんあるのですが、John Lynchのリード無しでは陳腐になってしまうので、ここには書きません。ただ、言えることは、リーダーとして求められることはすごくシンプルであり、それはいつの時代にも変わらないということです。
どの教授も、素晴らしい職歴&教育熱を両方持ち合わせているので、品質の高い授業が提供されているんだと思います。これまで累計8科目の選択授業を取ってきましたが、全て本当に満足度が高いです。「全て」だと嘘っぽく聞こえてしまいそうなので、つまらない授業に出会いましたら喜んでこちらで報告したいと思います(笑)。ではまた。
こんにちは。T22のYutaです。今日ようやくFall Bのテストが終了しました。3時間半の長丁場で、少々疲れましたが、今は中国人の友達にもらった手作りアンパン的なものを食べながらリラックスしています。
さて、前回の続きで残りの2科目をご紹介します。
3.Capital Market(教授:Prof. Ing Chen)
学習内容としては、株式・債券・オプション・フューチャーの基礎的な項目を網羅します。学習する内容の深さとしては、CFAのレベル1や日本の証券アナリスト試験(受けたことないので不確かですが。)と同じぐらいのレベルかと思います。また、金融機関で市場系の業務に従事している人にとっては簡単すぎる内容かもしれません。
例えば、DCF、DDM、CAPM、デュレーション、プットコールパリティといった用語を聞いて内容がピンと来る人はExemption(受講免除)してしまっても構わないのではないでしょうか。私もExemptionを検討しましたが、前期に会計をExemptionしていたこともあり、受講することにしました。私は個人的にExemption推進派ですが、限られた時間をどのように使っていくかは、よくよく検討が必要なところです。
本授業については、毎回問題演習が課されることや、Ing教授の説明の上手さもあって、知識を定着させられたり、理解がかなり深まったりしたので、結果として受講してよかったかなと思います。
バックグラウンド次第では、ちんぷんかんぷんになっている人もそれなりにいたようですが、Capital Marketは最悪、でもIng教授は最高という人も結構います。
また、統計で学習した事項と関連してくることもあったりして、面白かったです。簡単な回帰分析を実際に行うことで、「あぁ、CAPMのβってこういうことか」と腹落ちしたりもしました。
<教授紹介ページ>
Tuck School of Business | Ing-Haw Cheng (dartmouth.edu)
4.Analytics II (Prof. James Smith, Prof. Prasad Vana)
本授業は前半でエクセルのモデリング、後半はデータビジュアライゼーションとRを用いた分析手法を学習しました。
エクセルのモデリングにおいては、様々なケースを読み解きながら、どのように美しく、機能的にモデル化していくか、また、作成したモデルを基にSolverというエクセルのアドイン機能を用いながら、どのように最適な意思決定を下していくかを学習していきます。
データビジュアライゼーションではTableauを使って様々なデータを図表に纏める手法を学びました。Rを使った授業では、基本的なコーディングの理解を深めつつ、回帰分析、クラスター分析、ニューラルネットワークによる分析といった分析手法の基礎を学ぶことが出来ました。
こういったハードスキルが身につくのは、成長がわかりやすくていいなと思いつつ、実際にどこまで業務に活かせるものか、やや不透明です。こうした分析手法が必要な業務に従事したとしても、会社によって使っているソフトウェアも違ったりするでしょうし、そもそも授業で使っているような綺麗なバックデータが実務で手に入ることも稀なのではないでしょうか。
他方で、それぞれの分析の概念的な部分や、出てきた結果の読み解き方についてはこれからの時代必須スキルかと思いますし、上記のCapital MarketのCAPMの話のように、他の科目で統計の知識が必要となるケースも多く、今後の勉強や実務において自身の土台となる重要な科目であったと思います。大学院で勉強していく上でも、論文のコンテンツの相当な部分が統計手法による実証研究に割かれているケースも多く、やはり知ってくべきだと思います。
なかなかハードでしたが、Fall A・Bの両方で統計学を教えているところからも、Tuckにおいても重要視されている科目なんだと思います。
<教授の紹介ページ>
Tuck School of Business | James Smith (dartmouth.edu)
Tuck School of Business | Prasad Vana (dartmouth.edu)
冬タームは、コア科目としてコーポレートファイナンスとマクロ経済、選択科目としてEntrepreneurial Finance・Data Mining for Business Analytics・Digital Change Strategyを受講予定です。いよいよ選択科目が始まることが楽しみです。
こんにちは。T22のYutaです。
現在、Fall Bタームの期末テスト期間です。残すところあと一科目、夏のインターンに向けたリクルーティングにも追われ、忙しかったFall Bもようやく終わりを迎えようとしています。
今回のブログでは、Fall Bの授業内容について紹介します。Fall Bの科目は、ストラテジー・マーケティング・キャピタルマーケット・統計学IIの四つになります。スタディーグループについては、Fall Aと同じメンバーです。
今タームは、私のスタディーグループは、科目キャプテン制度を導入し、それぞれが担当する科目について、リーダーシップを取って進めていくことにしました。改めて見ると、まさにこのタームのためにあるようなバックグラウンドのグループ構成となっており、それぞれの得意分野で皆上手く力を発揮できたと思います。MBAに来るぐらいなので、リーダータイプが多く、Fall Aは船頭多くしてなんとやら状態でしたが、今期はこの運営にて効率もグンと上がりました。
ちなみに、うちのチームはクラスでも「あぁ、あのスマートな奴揃いのグループか。」と言われたりするぐらい、皆優秀なので、各人の担当分野をきっちり任せきれるので楽でした。
<各科目のキャプテンとバックグラウンド>
ストラテジー:コンサルタント出身者
マーケティング:シアターのアドバタイジング部門出身者・米銀の経営企画部出身者
キャピタルマーケット:インベストファーム出身者と私(銀行員)
統計学II:データアナリスト、データインテグレーション担当者
さて、前置きが長くなりましたが、以下授業の詳細です。
1.ストラテジー (教授:Prof. Ramon Lecuona)
基本的には、ポーターのファイブフォース(Tuckではそこに独自に1つComplementorを加えたシックスフォース)を中心とし、それぞれの価値を生み出す源泉として、規模の経済性、ラーニングカーブ、シナジー、取引費用理論、破壊的イノベーション等の基礎的な事項を学びました。コア科目だけあって、古典的なケースが多く、トヨタによるプリウスの開発、任天堂・セガ・ソニーによるゲーム機戦争、デジタル技術の導入におけるコダックの失敗と富士フイルムの隆盛等、日本企業の名前が沢山出てきます。
ケースの舞台となる時代は、日本の国内市場で地盤を固めた日本企業が、満を持して米国市場を攻めてきたというものが多く、そうした日本企業に米国企業がどのように対応したか、日本企業がいかにうまくやっているかを見ていくこととなりました。Ducatiの元CEOがゲストスピーカーとして登壇した際に、「技術の向上や製造プロセスの改善といった既存の延長線上では絶対に日本のメーカーには勝てない。ただし、デザインの先進性等、Inovativeな部分では勝つことができる。」と仰っていたのは、なんだか複雑な気持ちで聞くことになりました。
私はストラテジーについては、過去に独学でそれなりに勉強していたので、知識としての新たな学びはあまりありませんでしたが、ケーススタディを通じて、何度もその知識を応用したことで、モノの見方が多少変わったように感じています。ポーターのファイブフォースの要素を5つ言えることと、それを実際に使って考えられることとは当然ながら別次元の話です。
(教授の紹介ページ)
Tuck School of Business | J. Ramon Lecuona Torras (dartmouth.edu)
2.マーケティング (教授:Prof. Sharmistha Sikdar)
市場調査の方法、分析手法、セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニング、3C、4Pのフレームワーク等、マーケティングの基礎事項を網羅的に学習。実践面では、様々な企業のCMを見ながら、学習した事項を使ってどういったコンセプトで作られたものかを考察したり、与えられたデータを元に、特定の商品(キリンビール等)のポジショニングを考えたりもします。
また、Markstratというソフトウェアを用いて、各スタディグループ毎に、マーケティングのシミュレーションゲームをしたりもしました。顧客ニーズや競合動向を分析しながら、新商品開発や既存の商品の価格戦略、製造計画、チャネル戦略等を考えます。各意思決定に基づいて市場シェアや売上・利益が算出され、それらを反映した株価が最終的に一番高いチームが優勝です。うちのチームはリスクを取って新商品開発に一番早く乗り出したところ、最初はR&Dコストが嵩み、最下位にまで転落しましたが、見事新商品をヒットさせ、優勝することができました。
教授が非常に淡々と授業を進めるため、授業としては正直イマイチだと感じましたが、テスト勉強をしながらスライドを読み返していくと、各フレームワークが実例と共に良く纏まったいい資料だなと思いました。内容もさることながら、教える側の熱量がとっても大事だなと感じます。
(教授の紹介ページ)
Tuck School of Business | Sharmistha Sikdar (dartmouth.edu)
前にブログに書いたDan教授のお宅訪問時に、「Tuckの教授は(自身の研究もあるのに)何故そんなに生徒を教えることに情熱を傾けられるのか」と聞いた際、教授にしても元々人との関わりが好きな人がTuckに来がちという前提はありつつ、「前期後期制ではなく、クォーター制を取っており、あるクォーターは生徒の指導にだけ注力し、それ以外のクォーターは自分の研究に集中するといったメリハリの利いた時間の使い方をできるからだ」と仰っていました。教授がエネルギッシュだとこちらのやる気も増すので有難いです。
長くなったので、残りの二科目はまた別途書きます!
受験生の皆様、出願準備お疲れ様です。
特に2nd Roundで出願予定の方は最も忙しい時期かと思いますが、ぜひ頑張ってください。
この度、Tuckの日本人在校生主催にて、以下のとおり、非公式のwebinerを行います(Admission Officeは関与していません)。
Tuckに出願する方にはもちろん、Tuckに出願するかどうか迷っている方、そもそもTuckのことをよく知らない方にも有用な情報を提供したいと思います。
Tuckとのフィット感を確かめるためにも、ぜひ一度在校生の話を聞いてみてください。
日時:12月18日(金)22:00~23:00(日本時間)
言語:日本語
内容:Tuckの魅力、プログラム、アプリケーションのtips、事前にいただいた質問への回答等
配信:Zoomにて開催予定。登録いただいた方に後日リンクをお送りします。
登録方法:こちらのGoogleフォームより登録をお願いします。
当日は、フォームで関心の高かった事項を中心にお話したいと思います。
キャンパスビジットができない中ではありますが、本webinerを通じて、少しでもTuckのイメージをお伝えできればと思っておりますので、奮ってご参加ください。