考えてみれば当たり前なのですが、ビジネススクールでは意外と政治的な話はしません。政治と経済は連動しているので、この2つを切り離して考える癖が私にはなく、当初は少し戸惑いました。でもビジネススクールでは飽く迄もフォーカスはビジネスです。例えばマクロ経済学の授業で各国の金融政策や財政政策の違いを学びますが、そこからどんどん深入りして「共産主義の是非」みたいなところまで議論が及ぶことはありません。また授業でアメリカ国内の税制について話をしたとしても、テーマが「共和党と民主党のどちらが正しいか」というようなものになることはありません。とはいえ、全く政治的な話をしない訳ではありません。そのような話に興味があれば、選択授業で幾らでもカバーすることが出来ます。例えば私が先の冬学期に履修した”Doing Business in China”という授業では、中国でのビジネス事例を取り上げながら、リーダーシップや企業倫理について考え、また米中関係や日中関係を含めた政治的な議論も盛んに行われ、非常に好きな授業のひとつとなりました。
企業倫理
ビジネススクールでここまで「企業倫理」に時間が割かれるとは私は思っていませんでした。Tuckでは1年生の必修授業に「企業倫理」は含まれせんが、2年生では少なくともひとつは「企業倫理」に関する選択授業を履修することが卒業要件となっており、「企業倫理」関連の選択授業も結構多く用意されています。ビジネススクールでリーダーになる為のツールを修得していく中で、「Strategicに考えればこうするべきだ!」、「Financeの観点から捉えるとこうするべきだ!」、「Marketing理論に従うならこうするべきだ!」などと、我々はどんどん頭でっかちになっていくことは可能です。そのくせ、いざ判断を下す瞬間になると情に流されたりして、間違った道を進んでしまうことがあります。ビジネススクールはそこら辺の、「最終的には倫理観が各自の判断基準になる」ということをよく理解しているのでしょう。授業を通じて企業倫理について毎日真剣に考えるのは、自分にとってとても良い気付きの場となっています。
ネゴシエーション
ビジネススクールで学ぶことは、大学で学んだことや職場で学んだことの発展形であることが多いですが、「ネゴシエーション(交渉術)」はビジネススクールならではの授業で本当に面白いです。ビジネススクールに来たからには必ず履修しなければならない授業のひとつと思います。自分の仕事を通じて、価格交渉などのネゴを経験したことがあるという人は多いと思うのですが(私もそうです)、交渉術自体を体系立ててひとつの科学として学ぶ経験というのはなかなか出来るものではありません。Tuckは「ネゴシエーション」を授業に取り込んだ最初のビジネススクールのようですが、今では常識となっていてどこのビジネススクールに行っても「ネゴシエーション」の授業は用意されています。皆さんもTuckの2年生になってこの授業を履修するのを楽しみにしていて下さい。別世界が見えてきます!
よしかん(T’15)