2020年11月22日日曜日

ゼネラルマネジメントスクールとは

こんにちは。ようやくFall Bタームの中間テストが終わり、ほっと一息ついています。昨日はテスト打ち上げがてら、アメリカ人の友人宅で、るろうに剣心の映画鑑賞会をしました。日本文化、というか漫画のパワーは偉大です。

さて、そろそろMBA受験では面接対策が本格化する頃ですが、私は面接でゼネラルマネジメントスクールに行きたいですとよく言っていたので、今日はゼネラルマネジメントスクールとは何ぞやということについて書いてみたいと思います。あくまで私の個人的見解ですので悪しからず。

一口にMBAといっても、各学校異なった特色があり、大きな枠組みとして、ゼネラルマネジメントスクール、ファイナンススクール、マーケティングスクール等の言葉があったりします。具体的には、TuckやHBS、Stanfordはゼネラルマネジメント系、WhartonやBoothはファイナンス、Kelloggはマーケティング に強みがあると言われることが多いのではないでしょうか。(そうはいっても、トップスクールになると大抵の分野に強いので、各学校どの切り口で見てもハイレベルなのですが。)


Tuckがなぜゼネラルマネジメントスクールなのか、という点については、「コア科目への力の入れ具合」で語ることができるのではないかと思います。入学早々から、みっちり(本当にみっちり)コア科目が組まれており、各科目の受講を免除しようとしても、学位や職務上の経験等、相応のハードルを越えなければ免除できません。

実際のビジネスの場で役立つ知識・知恵となるよう、各科目間の関連性も強く持たせるように意識しており、経済学で学んだ知識をストラテジーで応用してみたり、統計学で学んだ知識をキャピタルマーケットで活用してみたり、教授陣も様々な工夫をしています。(これらの工夫については、こちらの公式サイトでも紹介されています。https://www.tuck.dartmouth.edu/news/articles/how-the-core-curriculum-fits-together)

幅広いテーマを経営者の視座から学び、各科目の謂わば古典を確りとおさえながら、ケースメソッドによってそれらの知識の応用方法を身につけていく、そんなコアカリキュラムになっています。

メリットとしては、MBAホルダーとして身につけておくべき事項を網羅的に学べることや、自身がこれまで注力してこなかった分野での関心・興味を身につけられることが挙げられるかと思います。デメリットとしては、本当にその分野に詳しい人にとってはその分野での学びが限定的になり得ることがあるかと思います。

但し、問題演習量が相当に多いため知識を定着させられたり、ケースを通じてクラスメイトとディスカッションしたりも出来るほか、詳しい分野の方が自分自身がクラスにコントリビューションできることも多いので、学びが限定的になるかどうかはその人次第な側面もあります。

また、一年生の冬学期からは選択科目も取れるので(私はアントレプレナーシップファイナンス・データマイニング・デジタル戦略を受講予定)、一年生のうちから興味のある分野で専門性を高めていくことも、それなりには可能です。あとは、選択科目を見てもストラテジーの分野で授業数や有名教授の数が多いような気がするので、その辺もゼネラルマネジメントスクールっぽいかもしれません。そうはいっても、ファイナンスとかヘルスケアの分野も多いですけど・・・


別の切り口では、リクルーティングにおいてスクールの特色が利いてくることもあると思います。ゼネラルマネジメントスクールは、一般的にはコンサルティング業界に強い学校が多いと感じており、Tuckの卒業後の進路のデータを見ても、コンサルティングが35-40%、金融が25%、テックが20%ぐらいとなっています。

今はまさにリクルーティングまっさかりですが、コンサルティングファームの面接においては「XXのビジネスを行っている会社が△△の分野に進出しようとしている際に、検討すべきことはなんですか」といったようなケース面接が行われる一方で、投資銀行での就職を目指す同級生によれば、「バリュエーションの手法にはどんなものがありますか。WACCって何ですか?CAPMの各構成要素が動く要因とバリュエーションへの影響について説明してください。」といったテクニカルな質問も多いそうです。

前者のようなケース面接であれば、ビジネスに関する広い知識を前提に論理展開していける力があれば良いと思いますし、後者であれば、ファイナンスの知識としてWACCやCAPMを確りと理解していなければいけないと思います。

こうした点で、コンサルティングファームのような面接であれば、Tuckのようにコア科目に力を入れている学校には一定のメリットがあると思いますし、ファイナンスの専門知識を早期に得たい人にとっては、入学早期から受講科目にフレキシビリティのあるファイナンススクールを選ぶ蓋然性も相応にあると思います。

そうはいっても、Fall Bタームにおいてキャピタルマーケットの科目があり、上記のような質問に問題なく回答できるぐらいには、確り勉強しますので、投資銀行に行きたい人もTuckを選んでいただいて全く問題ないとは思います。キャピタルマーケットを教えているIng教授は明瞭で紳士的、かつユーモアにも富んでいて、学生からも人気です。(https://www.tuck.dartmouth.edu/faculty/faculty-directory/ing-haw-cheng)


また、特にアメリカで就活をする場合は、ネットワーキングが重要となりますので、コンサルに行きたい人はコンサルティング業界に卒業生が多いゼネラルマネジメント系のスクール、投資銀行に行きたい人は投資銀行業界に卒業生が多いファイナンススクールを選ぶということも一考かと思います。

そうはいっても、大抵のビジネススクールでは、コンサルティング・投資銀行・テックに相当の人数を送っているので、この点における差別化も限定的かもしれません。


どこの学校も似通ってきている部分も多く、一言で違いを言うのも難しいのですが、経営者として必要な知識を網羅的にみっちり勉強でき、ケースメソッドやコンサルプロジェクト等での実践機会を通じて応用力を身につけられるので、Tuckはなかなか良い学校なのではないかと感じています。

今年はビジットもなかなかできないでしょうから、受験生の方々と直接お会いできる機会も少なく残念ですが、Tuckについて疑問点や知りたいことがあれば、メールでもTwitterでも、お気軽にご質問ください。