4月6日に開催したDartmouth Ventures 2013というカンファレンスに関して、ビジネスコンテストの参加者及びカンファレンスの運営側としても深く関わったので、今回はカンファレンスの概要と参加者としての感想について書き、後日また運営側としての感想と、Tuck側の運営主体であるEntrepreneurship
Initiativeという組織について書きたいと思います。
カンファレンス概要と参加者としての感想
Dartmouth
Venturesとは2002年に始まったTuck/Dartmouth主催のEntrepreneurshipがテーマのカンファレンスです。今回は、1. 特定のテーマに関して2-4人のゲストスピーカーが議論するセッション、2.より専門的な分野に関して、その専門家が実践的なノウハウを教えるWork Session、3. Tuckを含めたDartmouth全体+外部からの応募者を交えたビジネスコンテストの3部構成となっていました。
1.
特定のテーマに関して複数のゲストスピーカーが議論するセッション
モデレーターの進行のもと、ゲストが特定のテーマに関して議論をする9つのセッションがありました。ゲストは9割がTuck又はDartmouthの卒業生で、総勢30人ほどでしたが、いずれも大手Venture Capital(東海岸だけでなく西海岸のVCも複数)で働いているか、自ら一度又は複数起業した卒業生が参加しており、改めて卒業生の厚みを感じました。起業家のビジネスも多様で、インターネット、ビッグデータ、バイオ、音楽、食品、金融など挙げればきりがないほどです。Private Equityの中でもBuyoutの世界にはTuckの卒業生が多いことで有名ですが、VCや起業家の世界にも多くいたことは正直意外でした。
各セッションのテーマは、起業の早期における資金調達、現在の新しいビジネスのトレンド、医療関係のテクノロジー、クラウドファンディング、各起業家の起業してから現在までの経験談、ソーシャルアントレプレナーなど、多岐に渡っていました。
僕も複数のセッションに出席し、現在のスタートアップの資金調達のトレンドや主な契約条件、バリュエーションの考え方、東海岸と西海岸の資金調達に関するビジネス慣習の違いなどについて学ぶことができて大変面白かったです。ちょうど1年目の春学期の選択授業でEntrepreneurial
Financeの授業を履修しており、たまたま直前に授業で学んだ内容についての議論も行われたので、タイミング的にも恵まれ学びが豊かになりました。
2.
専門家が実践的なノウハウやスキルを教えるWork Session
今回はIntellectual Property、Startup Operation Boot Camp、Building
and Managing a Website on a Shoestring Budgetなどのセッションが行われました。クラスメートと手掛けているビジネスにおいて、ニーズの確認とマーケティングの双方をスピードアップする目的でウェブサイトを立ち上げることを議論していたところで、上述のウェブサイトのセッションが個人的に興味があったため、その運営を担当させてもらいました。スピーカーはDartmouthの卒業生で、現在サンフランシスコで自ら起業したウェブ製作・運営の会社を経営しており、豊富な経験に基づいてポイントが整理された分かりやすいセッションでした。
ここでの一番の収穫は、自分達がやっているビジネスに関して助言を求めたところ、彼は既に僕らが作成したパンフレットを手にとってくれていて、なんと顧客として大変興味があると言われたことでした!すぐに、「Let’s stay in touch and talk about it
more later!」と言われて名刺を渡され、後でまた話をすることになりました。早速自分たちのビジネスの潜在顧客まで現れたので、僕は興奮しながらパートナーのクラスメートにその話をし、何が起きるか分からないからもっと積極的に色々な人に自分たちのビジネスを売り込もうと発破をかけました。このスピーカーとは後日就活でサンフランシスコに行った際に会う時間を作ってもらい、彼のニーズを理解するためのインタビューを行った後、ウェブ戦略に関するアドバイスをもらうことができました。
3.
ビジネスコンテスト
当日は起業に向けたビジネスプランコンテストも行われました。Dartmouth全体の学生チーム(主にはTuck、Dartmouthの学部、Thayerというエンジニアリングスクール)とDartmouth全体の卒業生、そしてnon-Dartmouthのチームが参加しました。審査員によって選ばれた優勝チームには賞金$25,000が送られ、その他に当日のカンファレンス参加者全員による投票で1位だったチームには別途$6,000が送られました。
Dartmouthの学部生は1ヶ月前に予選が行われており、Tuckでアントレを教えている教授2人(うち1人はDartmouthの学部とTuckの卒業生でVCを創業した実務家)プラスTuckの学生1人で審査員を構成するため、TuckのEntrepreneurship
Clubで活動していた縁で僕が審査員をやる機会に恵まれました。予選当日はさすがIvy Leagueレベルというべきか、学部生にも関わらず質の高いアイデアとプレゼンスキルに驚きました。教育系ゲーム、ファッション流通、タイムマネジメント用スマホアプリ、自己診断用医療機器、特許を取得した技術を用いた新しいタイプのペットボトルといったバラエティに富む内容で、審査が難航する程レベルが高かったのですが、最終的に教授2人と議論を重ねて後者3チームを選出することになりました。学部生から刺激を受け、教授とのビジネスプランの評価に関する議論を通じて色々と学びもあり、大変有意義な経験でした。余談ですが、学部生の大会の主催者とこの時知り合ったのがきっかけで、将来の就職先のターゲットの一つとして検討しているDropboxで働いているDartmouthの卒業生を後日紹介してもらうことができたので、どこで何がどうつながるか分からないものだなと思いました。
Dartmouth全体の卒業生あるいはnon-Dartmouthのチームは事前に各大都市のDartmouth卒業生コミュニティによる審査通過した2,3チームが準決勝に参加しました。
Tuck/Thayerからの参加チームは事前に書類とプレゼン資料を提出し、業界関係者の複数の審査員による書類選考によって、準決勝に進出できる4チームが選ばれました。幸い僕のチームも選ばれ、カンファレンス前日に準決勝が行われました。
僕のチームは、学部はエンジニアリング→防衛産業→コンサルタントという経歴のアメリカ人と、元マイナーリーグのプロ野球選手で知的財産関連のパラリーガルや親と飲食業のビジネスを行っていたチャイニーズアメリカンと僕の3人でした。実際のベンチャーキャピタリストや起業家を前にビジネスプランをプレゼンする機会は貴重なので、メンバーはみな気合いが入り楽しくやれました。残念ながら決勝に進出できませんでしたが、審査員から我々が解決しようとしている問題やビジネスの方向性には概ね非常に好意的なメッセージをもらい、さらに審査員の1人はうちのチームを選んでくれていて、後で個別に引き続き起業に向けて頑張るよう熱烈に応援されたので、もっと頑張ってみよう、と思えるいいきっかけになりました。また、3人ともいつもお互いのことをカバーしながらそれぞれ違うバリューをチームにもたらし、気持ちよく一緒に働けたので、友情も深まったと実感しています。
カンファレンスの最後の山場として、決勝に残った3チームが順番にプレゼンを行いました。たまたまTuckの2年生チーム、Dartmouthの学部生チーム、そして外部からのチームが1つずつ残り、会場は更に盛り上がりました。最終的にTuckの2年生チームが優勝し、賞金を手に喜んでいました。正直ビジネスアイデアとして2位も遜色なかったと思いましたが、客観的に見てもTuckのチームは資料のビジュアルやプレゼンのスキルのレベルが上で、社会人経験だけでなく、Tuckで必修となっているプレゼンを鍛える授業の成果が出てるなとはっきり感じました。自分はプレゼンは決して得意じゃないので、留学中に磨きをかけなければと改めて決意しました。ちなみに当日の結果はこちらです。僕のチームはShortSourceです。
優勝チーム |
Y.I (T'14)