2013年6月9日日曜日

Tuck 2013 Japan Trek

今回は3月に行いましたJapan Trekについて振り返ろうと思います。TuckでのJapan Trek(以下、トレック)は09年から数えて今回で5回目、日本人在校生が1年目の春休みを利用して日本国内各地へ同級生を案内し、共に食事、文化、娯楽を楽しむことで日本について様々な側面から理解を深めてもらうことを目的としています。さらに今年はJapan Learning Expedition*1)の参加者と合わせて総勢70名が日本を訪れました。Tuckが一学年270名前後の学校であることを考えると如何に日本という国の人気が高いかをご理解いただけると思います。又、手前味噌ですが、トレック実施前から日本人が各自授業内外の様々な活動を通して同級生と交流し良い関係を築いていたからこそこれだけの人数に日本を選んでもらえたのはないかと感じています(春休み中には他にも元グリンベレー隊員の同級生が率いるアラスカサバイバルトリップ等魅力的な選択肢がたくさんあります)。

結論から書きますと参加者の高い期待に応えるべく9月の入学から程なくして準備を始めること半年余り、315日から23日までの激動の9日間、幾多のドラマ(?)を生み出しつつトレックは大成功に終わりました。念のため申し上げておきますとこれは私見ではなく、トレック終了後の参加者向けアンケート結果に基づいていた事実です(満足度5点満点中、平均4.9点を獲得!)。

波乱万丈のトレックで全ての出来事を振り返るには少々無理があるので以下訪れた場所でのハイライト及びトレックを終えてからの感想です:

315-17日(京都、大阪)

色々と組み合わせを検討した結果、まずは京都で集合し、日によっては大阪組、京都組とオプショナルツアーに分かれて行動し、その後箱根、東京へと移動するプランとしました。京都では日本の歴史的・伝統的な側面に触れてもらうために少々ベタではありますが、金閣寺、二条城、清水寺、伏見稲荷を訪問し、夜は舞妓さんの踊りを鑑賞という流れに。夫々趣きの異なる場所を訪れ、参加者は皆総じて異国情緒を満喫している様子でした。伏見稲荷では前年迷子になった人がいるので、とガイドの方から事前に警告されていたものの結局、集合時間になっても同級生のパートナーが一名現れず。その同級生及び日本人引率者二名で走り回っても見付からず諦めて下山したところ、そこには探していた彼の姿が。。集合時間を聞いておらず戻ってきたら誰もいなかった、とのことで大事には至らず安心していましたが、責任感の強い同級生は彼を激しく叱責しつつ、我々には平謝り。バスに戻ったら待っていた皆に「Welcome back!!!」と囃し立てられ最終的には何とか丸く収まりました。

翌日は京都をさらに深堀したいメンバーは嵐山を訪れ、保津川下りや座禅&お茶会へ。一方の大阪では取り組み毎の間の長さに参加者が飽きてしまうのでは、と懸念していた大相撲が意外にも大人気でした。興奮冷めやらぬ参加者の一部が日曜夕方の大変混雑したなんば駅で鼻息荒く相撲を取り始めた際には正直頭を抱えずにはいられませんでしたが、ここまで相撲観戦で盛り上がるとは思っていなかったため嬉しい誤算でもありました。その後、箱根、東京でも「近くで相撲を見れるところはないのか!?」とアメリカのスポーツバーのようなところをイメージして質問してくる参加者が続出する程の人気沸騰ぶり。観戦した際の印象では中高年の常連客が多かったようですが、相撲協会には未開拓の大きなマーケットがあるように思えてなりません。


嵐山にて、落ち着いた雰囲気で和みつつ昼から乾杯!



318-19日(箱根)

京都、大阪を満喫した一行は新幹線と観光バスを乗り継ぎ、途中沼津で新鮮な海鮮、ジャパンクオリティを極めたイチゴに舌鼓を打った後、一路箱根へ。この日は旅館に泊まり、温泉でさっぱりした後に美味しいお酒と料理で宴会を楽しんでもらい、さらに力尽きるまでドンチャン騒ぎというコースを用意しました。温泉では体を洗ってから湯船に入るように、と口酸っぱく伝えたおかげで皆お行儀よく入浴。ハノーバーでも未だに経験していなかった裸の付き合いで親交を深めることが出来ました。よほど新鮮な体験だったのか、秋学期のスタディグループも一緒だったブラジル人が帰国後も「俺はこんな狭い風呂で○○(私の名前です)と裸の付き合いをしたんだぜ!」と満面の笑みで他の同級生に自慢する姿を見て嬉しいようなちょっと止めてほしいような複雑な気分でした。

宴会では慣れない浴衣、お座敷とお箸に各人苦戦しつつも料理を楽しみ、間には日本人引率者と一部参加者のコラボレーションによる宴会芸もちゃっかり登場。さらにトレックのホストとして日本に来てくれたことに対する御礼を参加者に伝えるべく片手には日本酒、もう一方の手にはビールを持ってひたすら挨拶回り。参加者も満面の笑みで覚えたばかりの「Kanapa----i!!!」の発声で、一緒にグビグビ。大いに盛り上がった一行はそのまま階下のカラオケへ。(私は宴会芸及び挨拶回りでの無理が祟ってカラオケ序盤からの記憶がありませんのでこれ以上の記載は断念します)

お行儀の悪さに夜中に叩き出されるのでは、と少々心配していたものの、旅館側のご厚意と参加者の良識(?)のおかげで特に深刻な苦情が届くこともなく箱根を後にすることができました。そして途中芦ノ湖を臨む素敵なホテルで日本食に若干飽きて来た参加者を和洋折衷ビュッフェで喜ばせつつ、舞台はとうとう最終ステージの首都、東京へ。

大相撲と並んで大人気のカラオケで連日大盛り上がりでした



320-23日(東京)

トレックの開始からここに至るまで日中の観光に加えて夜も異国での未知の体験の数々にテンションが上がりっぱなしのため、東京に到着する頃には皆かなりの疲れが溜まっている様子でした。箱根からの渋滞も手伝って東京到着当日は二次会もグラス片手に談笑する落ち着いた雰囲気で皆早々とホテルへ足が向かい、やれやれ今日こそはゆっくり休める、、と胸を撫で下ろしたのも束の間、「あれ、○○(再び私の名前です)?何で東京にいるの?」とどこかで聞いた声が。。声の主は大学時代の同級生で某広告代理店勤務の友人。早々にホテルへ、と書きましたがすでに時計の針は11時を回っていたものの結局同級生たちは自分たちでホテルに帰れるとのことだったので私だけ踵を返して来た道を戻ることに。。思わぬ再会を喜びつつ眠たい瞼を擦る何とも複雑な気分の夜となりました。

翌日から充電完了した意気揚々の一行を浅草、皇居、丸の内、銀座、秋葉原、渋谷、原宿など都内各所に案内。日本人の意地を見せるべく時間配分や移動方法などとことん細部まで拘ったおかげで混雑した都内を大人数でも効率良く回ることができ、参加者も大変満足した様子でした。KAIZENをモットーに昨年のアンケート結果から今年は東京での時間を長めに取り多くの場所を訪問しましたが、中でも印象に残ったのは秋葉でのメイドカフェでの皆の困惑した表情と日ハム vs 楽天のオープン戦でのはしゃぎ様でしょうか。メイドカフェに関しては参加者の一人が直後に:”I love everything about Japan, I love everything about Tokyo, but this was … so different.. It was just so different.” と何とも表現しがたい表情で漏らした一言が全てを物語ったいるかと思います。野球観戦ではオープン戦にも関わらず鳴り物付きの応援が行われている盛り上がりっぷりや食事の選択肢の多さ(必ずしもそうでないと思いますが、アメリカの球場ではホットドッグしか売ってないと一部参加者は愚痴っておりました)にいたく感銘を受けていた様子でした。

他にも六本木から築地市場へ直行し、雨の中競り見学の受付に猛ダッシュし皆何とか整理券をもらえたと思ったら最後まで皆をタクシーに乗せていた自分とアメリカ人同級生の分だけ足りなかったり、私がある夜ホテルのロビーで力尽きていたら知らぬ間にブラジル人同級生にベッドまで抱え上げられ、起きた瞬間自分がどこにいるのか分からずひどく困惑したり、と色々ありましたが何とか無事最終日を迎え、何と最後の夕食の際には代表の2名から引率役の日本人在校生3名に対して日本での一週間余りを如何に楽しんだか、というスピーチと皆の感謝の言葉をしたためた色紙までもらえる感動的な幕引きとなりました。

東京ドームにて、オープン戦観戦がここまで盛り上がるとは想像もしませんでした(ファールボール二つ捕球、後ろに写っているマイケル・オブレイユ一塁手が一つ投げてくれたので計三つボール獲得)


同じく東京ドームにて、外人20名の団体は珍しかったのかスクリーンデビューも果たしました



トレックを終えてからの感想

正直申し上げますと、実際にトレックを終えるまでトレックで得られるものというのはあまり意識しておらず、自分の時間を使って日本を同級生によく知ってもらい日本人としての責任を果たすというある種の義務感に駆られていたとも言えます。そのようなトレック前の決して高くない期待とは裏腹にトレックを通して未だ訪れたことのなかった面白い場所をいくつも発見したり、在り来たりではありますが、他の国と比べて際立った日本の良さ(治安の良さ、高水準のサービス、文化的な多様性)を再認識したりすることが出来たことに加えて、何よりそれらの時間を同級生たちと共にすることが出来たことは自分にとって一生モノの経験だと言っても過言ではありません。

Tuckの魅力の一つとして比較的小規模な学校で同級生とより親密な関係を築くことが出来る点が挙げられますが、その中でも一週間強という短い期間とは言え、自分が生まれ育った国で時間を共に過ごし、自分のルーツを理解してくれる同級生とは特に距離が近くなったと感じており、他の日本人在校生と協力してこのトレックをやり遂げて心の底から良かったと思っています。

参加者の一人からは”magical experience”とまで形容されたトレックの噂は学期再開後に瞬く間に学内に広まり、1-2週間は誰かにすれ違う度にその話で声を掛けられたので今回トレックに参加しなかった同級生たちの日本に対する興味も大いに刺激して結果的に参加者の人数以上に日本の良さを伝えられたようです。又、トレック前も日本人としてそれなりの存在感を示していた自負がありますが、トレック後は「彼らのplanning/execution 能力は信じられないほど高い!」と一目置かれる存在にまでなったと感じています。

数十人のクラスメートを引率するには気力、体力共に相当使いましたが、ジャパントレックをTuck Japan Communityの素晴らしい伝統の一つとして今後も引き継いで行きたいと思います。


最後の夕食の際に参加者からもらった寄せ書き、真ん中の似顔絵(?)は日本アニメが大好きなインド人同級生が書いてくれました


*1-教授と共に様々な業種の企業を訪問し、後日レポートを提出することで単位を得られるプログラム。このプログラムについては引率を行った別の在校生が近日中に別途記事を書く予定です。

S.Y (T'14)