一年目の春休みを終えハノーバーに戻って参りました。気候がよく落ち着きますね(笑)今年の春休みは例年と異なり、一年生が春休み開始と同時に世界中に散らばる現象が起きています。Tuckでは我々Class of 2017の生徒以降、必須科目に加えGlobal Requirementが加わり、その中心的プログラムの一つであるGIX(Global
Insight Expeditions)が春休みに行われる為です。
Global Requirementとは、在学中2年間でGlobal FYP (First Year Project), Global Consulting, Term Exchange
Program, GIXの中から必ず一つ履修了するというものです。Global FYPとGlobal Consultingが、短期間で海外ビジネス経験を積む為の位置付けに対し
、GIXは特定の国・地域に訪問してビジネス、社会、文化を実際に見て回り視野を広げる目的で設計されています。プログラム期間は1−2週間、テーマも様々です。
私は兼ねてよりヘルスケア産業に興味があった為、オランダの短期留学プログラムを選択しました。オランダGIXは今年度実施の8つのプログラム中で唯一のインダストリー・フォーカスのプログラムで、Tuck Healthcare InitiativeがオランダのトップスクールであるTIAS
(Tilburg University)と2年前から協力してプログラムを作り込み、昨年10人、今年24人の参加実績です。全体として講義テーマ・講義内容がよく作り込まれており、ゲストスピーカーや教授も含め、オランダで各分野の第一人者が来て講義・議論をしました。さらに、Tuck同級生参加者の(ヘルスケア産業に対する)多様性も非常に高く、授業・食事・企業視察を含めた全てのインテラクションが知的好奇心を刺激するものでした。Tuck参加者は医療ビジネス未経験者3割、残りはヘルスケアに携わってきた同級生です。医師、看護婦バックグラウンドの生徒に加え、ヘルスケア・フォーカスの金融プロジェクト、コンサル、ベンチャーキャピタル、スタートアップ、製薬会社、医療政策コンサルタント、メディカルデバイス、ソフトウェア会社など非常に多様性が高く、それぞれの視点をシェアしながらヘルスケア・システムを学びました。コース体系は、一週間で18コマ分の授業枠をフルに使い、医療システム全体像、医療組織運営、医療テクノロジー、保険制度、製薬会社、高齢化社会、ホームケア、メンタルヘルスの現状確認から各分野におけるイシューへの理解を深め、議論していきます。
結果として、想像以上に素晴らしい経験ができました。まずはヘルスケア産業を体系的に学ぶという意味で一週間という期間で集中的にあらゆる角度で産業を俯瞰できた点が大きいです。自分がヘルスケアの中でも特にどの分野に興味があるのかがよく見え今後の研究に繋がりました。さらに、上述の同級生との議論が素晴らしく、実際に医療ビジネスを第一線で経験してきている同級生と議論を深められたことは、必修科目でのクラス議論やグループ討議とは一味違う経験となり印象的なものです。そして最後に、同級生との繋がりを急速に深められたのは最大の副産物です。今まで顔見知り程度、深い話をしたことがなかった同級生が半数弱いましたが、ヘルスケアという共通の問題意識・興味を持ち、またタイトな一週間を共に過ごした事もあり、一人一人と密に話がすることができました。これは、毎日宿題に追われるスタディ・グループとの協業に集中する通常学期では得られにくい経験でもあります。MBAに来たら授業、課外活動、プロジェクトのフレームワークの中で、同級生から学び、議論や活動を通じて仲間を作っていくものと、受験生だった時にアドバイスを受けた事がありますが、今回私が履修したGIXはまさに非常に質の高いプロジェクトにあたるものでした。