2020年12月28日月曜日

MBAはコスパが悪い?

MBA受験の2nd Roundが大詰めですね。受験生の皆さんお疲れ様です。また、この時期というのは「来年MBA受験してみようかな」と思っている人が試験に向けて動き出したりするタイミングでもあるのではないでしょうか。このブログではTuckスペシフィックなことではなく、MBA全般に関わり、かつ受験生が気にしているであろう「MBAのコストパフォーマンス(以下コスパ)」について書いてみようと思います。

MBAはコスパが悪い」というのはMBAに批判的な意見の中で多いものの1つだと思います。しかし、コスパという概念は意外に扱うのが難しい概念だと思います。今回は「MBAはコスパが良い」と説得するつもりはありません。「①コスパという概念でMBAの良さを測る難しさ」「②MBAにいく決断を人の多くがたどったであろう思考プロセス」を考えてみようと思います。


「①コスパという概念でMBAの良さを測る難しさ」(結論:MBAの良さをコスパという概念では測れない)

まず、「MBAはコスパが悪い」という文章ですが、文章そのものに2つの曖昧な点があります。1つ目はコスパの定義が曖昧なこと。2つ目はMBAと何を比較してコスパが悪いと言っているのかが曖昧なことです。先に結論から言うと、これらの曖昧な2点を解消するのが難しいため、「MBAはコスパが悪い」という主張そのものが曖昧=MBAはコスパが良いとも悪いとも言えないと考えています。

まずは1つ目のコスパの定義です。「コスパ=パフォーマンス÷コスト」という定義が一般的かなと思います。MBAのパフォーマンスとはなんでしょうか。人脈・海外経験・年収アップ・2年間の休み・・等様々ですが、間違いなく言えるのは定量化できないということです。コストはどうでしょうか、間違いなく定量化はしやすいのですがこちらも難しさがあります。学費のような明らかなお金に関するものもありますが、MBA受験のためのTOEFLGMATの試験勉強に必要な時間等、定量化はできるがお金ではない概念が混じっており、コストとして使える明確な指標作りは結構難しいのです。つまり、MBAのコスパというのはそもそも計算できないよくわからないものということなんですね。 

2つ目、MBAと何を比較してコスパが悪いと言っているのかという点です。これも結構悩ましいですね。これは結論人によるんですよね。今の仕事を継続した場合と比較している人、デザインスクールと比較している人、海外オフィスへの出向と比較している人、転職と比較している人等様々ですね。そもそもキャリアという論点自体が個別性が高いため、一般論としてあるオプションが良いとか悪いとか断言することが難しいんですよね。

結論、「MBAはコスパが悪い」という主張は文章自体が曖昧で意思決定に役立ちません。では実際にMBAに行く人達というのはコスパという概念抜きでいかにして意思決定したのでしょうか。私の独断ですがおそらく以下の思考で意思決定した人たちが多いと思います(意識はしてなくとも、似たような思考を無意識にしていた人が多いと思います)。

 

「②MBAにいく決断を人の多くがたどったであろう思考プロセス」(結論:樹形図的な思考で決断してる人が多いのでは)

MBAに行く人達の多くは樹形図的な思考で意思決定したのではないでしょうか。つまり、以下3つの質問に順番に応えて全てがYESの人が留学を意思決定している人というイメージです。「1.MBAで得られるベネフィットに興味があるか」→「2.時間とお金を投資する覚悟はあるか」→「3.コストは調達できそうか」。図解すると以下のようなイメージですね。

割と荒っぽいですが、このような意思決定をしているMBA生は多いはずです。コスパなるものを計算し、他のオプションと網羅的に比較している人はほとんどいないのではないでしょうか。むしろ、上記の図の最初の問いである「MBAで得られるベネフィット」に対して強い思いがある人がそのままチャレンジして合格しているのではないでしょうか。だからこそ、「MBAはコスパが悪い」と言われると、そもそもそのような意思決定プロセスを経ていないMBA生としては議論がかみ合わない不思議な印象を持つわけですね。

コスパという概念を扱うのは一般的に相当難易度が高いです。それを何かの意思決定に用いる場合は相当な覚悟をもって数字と向き合う必要がありますし、そもそもコスパの計算が無理なケースが多いです。

もし受験生もしくは受験しようかどうか迷っている人の中で、「MBAはコスパが悪い」という主張によって悩んでいたり一歩を踏み出せない人がいたら、MBA出願においてコスパという概念は忘れてしまって大丈夫です。それよりも、MBAによって得られるものが自分にとって何であるのか真剣に考えてみましょう。情熱を持ってYESと言えるなら、そのまま進んでください。

長くなりましたが、MBAに行こうかどうか迷っている人の参考になったら嬉しいです。

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