私たちが参加したのは、Tuckが所在するHanoverの隣町にあたるNorwichで行われたハイキングトレイル(山道)の整備でした。あまり胸を張って言えることではありませんが、二人とも日本にいる頃はあまりボランティアに縁がなく、ブラジル人のスタディーグループメンバーに誘われたこともあり、参加してみようという話になった次第です。
参加者募集のメールを読むと「冬が本格化する前に我々が日頃お世話になっているトレイルを整備しながら紅葉を楽しみ、更にはTuck内の知り合いを増やしましょう!」という謳い文句だったので、早起きをしてかつ地域への貢献ができる週末のスタートとしてはこれ以上ない素晴らしい企画と実際の作業をする前から二人してすでに達成感に浸っておりました。
そして活動当日、同級生の車に乗せてもらい現地に集合、取り纏め役のNPO(Upper
Valley Trail Allianceというニューハンプシャー、バーモント州に跨る地域のトレイル整備を主な目的としている団体)の方が説明をした上で各人作業開始。と、さらっと書きましたが、ここで重大な事実が発覚。メールにトレイル整備と書いてあったのは、実際は『トレイルを造る』作業でした。具体的には風雨で崩れかかったトレイルを一旦掘り返し、強固な石段と砂利で補強するというものです。
ということでせっせとスコップを使って巨大な穴を掘り、我が家のダイニングテーブルくらいあるのではないかと思われる岩をてこの原理を使いながら山の中腹から運び、その上に別の場所から採掘してきた石を埋め込みハンマーで細かく砕き、さらに細かい砂利を敷き詰めることに。学生時代、部活の練習や試合の合間を縫って行っていた日雇い労働を彷彿とさせるハードワークでした。
私の場合、多少免疫があったものの、妻は元々体を動かすのにあまり慣れていないため、途中から青息吐息。作業の中には我々が元々想定していたような落葉掃きの仕事もあったのですが、その仕事は真っ先に手を挙げた、明らかに石運びや砂利採掘に向いているであろう筋骨隆々の同級生が請け負うというリソースの配分ミスも。彼の名誉のために補足しますと、決して彼は進んで楽な仕事を選んだわけではなく、各人の役割分担をNPOの方が決める際にたまたま最初に落葉掃きからやりたい人を募り、張り切っていた彼は自ら最初に志願し残った作業が実はやってみると相当ハードなものだったという訳です。
そして大雑把な国民性からか男女平等のカルチャーからか、誰も特に気にせず作業はスタートし、途中特に役割を交代することなく3時間後、めでたくトレイルに新たに二段ステップを増やし終了となりました。想定以上の重労働に面食らいつつも終わってみれば新鮮な経験が出来て非常に面白かったと思います。
最後に、Upper Valley Trail Allianceから彼らの活動概要や、今回のようにTuckからボランティアを募ることで労働力だけでなく州からの補助金を得ることが出来るシステムの説明を聞き、解散。また別の記事で詳しく触れようと思いますが、Tuckには中小企業やNPOに対して学生が5-6人のチームを組んで、2,3ヶ月に亘りで彼らの課題に対するアドバイスを行ったり、求められた成果物を出したりするTuck Student Consulting Serviceというプログラムがあります。私もそのプログラムに参加しており、Upper Valleyの環境保護を目的としたNPOに対するコンサル業務に取り組んでいます。全くバックグラウンドのない私にとっては今回のボランティアはアメリカのNPOとはどのようなものか?を知る良い機会になりました。
蛇足ですが、この週末はボランティアを行った後、ホストファミリーと昼食を取り、夜はハロウィーンパーティーで大いに盛り上がり、翌日は夫婦ともども筋肉痛でヒーヒー言いながら、私は月曜日のための予習、妻は家事に勤しむという週末を過ごしました。Tuckで過ごす週末に興味がある方のご参考に少しでもなれば幸いです。
作業終了後の集合写真です。写っていませんが、ズボンと手袋は実は泥まみれです。
S.Y(T'14)